目には目を、白ハゲには白ハゲを────
Twitterでクリエイターが、「こんなひどいクライアントだった!」と告発した件を、クライアント側が反撃しました。
攻撃手段はともに、「白ハゲ漫画」。
この記事の目次
「白ハゲ漫画ってなに?」
白ハゲ漫画とは、Twitterによくあがっている、「簡略化したキャラクターでお気持ちを表明するマンガ」のことです。
色のない・髪のないキャラクターって、描きやすいですよね。そしてあたかも無個性にみえるから、大衆の意見を代弁している風に、「主観」を伝えるときに使いやすい。
「白ハゲ漫画」は、あくまで総称です。
髪がはえてようが色黒だろうが、「Twitterで短いマンガをつかって主観を伝えること」は、白ハゲ漫画として扱われます。
「なにがあったの?」
作品はのせませんが、ざっくりと。
- クリエイターが、「酷いクライアントだった」と白ハゲで告発
- クライアントが、「酷いクリエイターだった」と白ハゲで反撃
いつもなら「クリエイターの告発」でおわっていたのが、「クライアントの反撃」とつづいたため、よりTwitter民の興味をひきました。
クライアント側のヒトが、対抗して白ハゲマンガをつくったわけです。
反撃したのは、「イラスト仲介業者の中の人」という設定。どこまで本当なのかはしりません。白ハゲ漫画のほとんどがそうであるように、リスクは最小限、「身元がハッキリしないように描かれている」。
得られる教訓としては、「白ハゲ漫画をうのみにするな」ということでしょう。
追記:「元ゲーム会社プロデューサー」を名乗る人物がシナリオを担当し、マンガ家に作画させたものだと判明。
「白ハゲって、わるいやつなの……?」
白ハゲ漫画は、単なる表現手段のひとつです。
問題なのは、「白ハゲ漫画をうのみにするネットユーザーがあまりに多い」ということ。ネットリテラシーの欠如とか、そのへんの話です。
マンガ(&動画)という媒体は、見る側の「想像力」と「読解力」を必要としません。見る側のリテラシーを犠牲にして、「わかりやすさ」に特化した媒体なわけです。
マンガは、つよい。
白ハゲは悪でも善でもなく、ただの「力」です。
「告発って、わるいことなの……?」
告発は、ただの「手段」です。
白ハゲ告発マンガを例にあげるなら、「復讐がしたい」「かなしみを知ってほしい」「これ以上犠牲者をだしたくない」という目的がかくれています。そのための手段が、ただ白ハゲだっただけです。
今回、反撃したクライアントの方も、まったく同じですね。まったく同じ理由で両者戦っているわけです。
どっちが悪いの? ────さぁ、わかりません。
白ハゲ漫画のよくないところは、「情報がそがれすぎている」こと。
バカでも読めるのがマンガです。「わかりやすさ」のために、「情報量」を犠牲にしている。とくにTwitterなんて、「140文字」と「画像4枚」の縛りがありますから、なお情報量がすくない。
ショートな白ハゲ漫画だけで、状況を把握できるわけがない。
単にネットユーザーのリテラシーが試されているだけ。
「ガチで告発したいときはどうすればいいの?」
ガチで告発したいときは、リスクを背負う必要があるとおもいます。
白ハゲ告発マンガは、リスクをぜんぜん背負っていないです。「実際の組織名」をあげることはほとんどないですから。実際の組織名をあげたとき初めて、それは白ハゲ漫画じゃなく、ほんとうの「告発エッセイマンガ」になる。
▲ こちらのマンガでは「KADOKAWA」という実際の組織名をあげて告発しています。
実際の組織名をあげると、ぐんっとリスクが上がります。まず────「ウソをつけなくなる」。
ただの白ハゲ漫画だったら、実際の組織名をあいまいにしてますから、「いやー、あれは創作なんですよー」って逃げ道があるでしょうけど、組織名をあげちゃったら逃げ道はありません。ウソをついたら、罪に問われるかもしれない。
ガチで告発したいなら、実際の組織名をあげましょう。
「よーし! 告発祭だー!」
告発は、安易にするべきではありません。
よほどのリスクです。相手が大きいほど、業界で干されるでしょうし、まわりから白い目でみられます。
告発後も「市場」で生き残れるのは、真に力をもったクリエイターだけです。
ほとんどのクリエイターは、ガチの告発後、重圧にたえきれずに潰れてしまうとおもいます。たしかな実力がなければ、業界で干されて仕事もはいらない。根も葉もない悪いウワサをたてられているかもしれない。「創作市場の醜いところ」もみてしまいましたし、失望して筆を折ってしまうかもしれない。
そういう意味では────白ハゲ漫画は賢い手段だとおもいます。
白ハゲ漫画はほとんどリスクを背負わず、ただ告発ができる。背景はまわりが勝手にしらべてくれる。「実際の組織名をあげないくらいには社会常識がある!」という評価もくだるでしょう。
告発は、計画的に。
▼ 捨て身で告発し、色々捨てることになったアホな作家の例
まとめ 「好きなだけ戦えばいい」
クリエイターの立場が上昇していることは、素直によろこばしいです。
クリエイターっていうと、「奴隷」のようにあつかわれ、なーんにも文句いえないのが当たり前────それが「インターネット」の登場で、好き勝手に反撃できるようになった。日本のクリエイターが力をもった。
「奴隷と主人」ではなく、「ヒトとヒト」になりつつあるわけです。
もっと殴りあえばいい。「オレのほうが正しいんだ!」「いや私のほうが正しいんだ!」────ずっと殴りあっていればいい。
その醜い戦いが、きっとだれかの「教訓」になるでしょうから。