mimicというWEBサービスが登場し、炎上しました。
さいきん流行りの画像生成AI。midjourneyは「スゴいスゴい!」と好意的に話題になっていたのに、なぜかmimicは激しく嫌われた。
以下、気になったので考察していきます。なおサムネイルはmidjourneyに描いてもらったmimicくんです。
「悪用のリスクのほうが大きいでしょ」
mimicは「キャラの絵柄」を学習させて、バストアップ画像(胸から上の構図)をいくつか出力するサービスです。
現状ではほぼ顔だけで、せいぜいSNSアイコンにするくらいしか用途がありません。背景・ポージング・構図すべてやってくれるmidjourneyとはまったく違います。
ハッキリいってイラストレーター側に技術的なメリットがほとんどないサービスです。
じゃあほかに誰が使うのか────「他人の絵を勝手にパクって自作発言したりSNSアイコンに使ったりしてる無法者くらいしか使わないでしょ」と。
イラストレーターにとっては、著作権的な対応に追われる厄介な存在が増えただけ。
「技術のレベルが低くね?」
midjourneyに比べて「ほぼ顔だけ」で、生成速度もめちゃくちゃ遅いmimicは、技術とサービスのレベルが相対的にかなり低くみえます。
また学習には30枚ものイラストを喰わせる必要があり、イラストレーターのためのサービスというよりは無法者にAI学習の手伝いをさせるためのサービスのようにみえます。
もしmimicが、midjourneyに匹敵するほどの完成度と利便性をもっていたら、ここまで叩かれなかったとおもいます。
midjourneyが「おびただしいビッグデータを学習して生まれた神絵師」なら、mimicは「他人の絵をパクって権利主張するトレス絵師」レベルなので、反応に差が生じるのも仕方ないのではと感じます。
「わかりやすいから叩きやすい」
mimicは国産サービスです。サイトも日本語でわかりやすい。
一方midjourneyは海外製。英語ばかりで基本的にDiscordを活用しなければならない。「呪文」のかけ方にもコツがいる。使いたくても使い方がわからないヒトは多いはず。
敷居の高さゆえに、midjourneyは日本ユーザーの批判をまぬがれた部分はあったのではないかとおもいます。
「イラストレーターもうやばくね……?」
midjourneyの登場から、イラストレーターの一部は戦々恐々としていた。
自分たちの仕事が、画像生成AIに奪われるのではないか。
そこに「わかりやすいヤバめのmimicくん」が登場。
一斉に有名イラストレーターたちも叩きはじめた。「AI学習禁止です!」法的拘束力はまったくないですが主張しはじめるヒトが増えた。
mimicは、midjourneyが登場してから沸々とわき上がっていた「絵描きの恐怖心」が、一気に爆発するキッカケになったのではとおもいます。
まとめ「クリエイティブを奪うAI」
スティーブン・ホーキング博士は「AIの完成は人類の終焉を意味する」という言葉を遺しました。
個人的にはそのとおりだと思いますし、人類は進化の欲望には勝てないのでどうしようもないなとも思います。
ただ意外だったのが、人間を非クリエイティブな仕事から解放してくれるはずのAIが、真っ先にクリエイティブな仕事を奪いはじめた点でした。midjourneyはあらゆる人々をコンセプトアーティストにしてくれる代わりに、コンセプトアーティストの地位をすこし下げたとおもいます。
mimicは機能的にはmidjourneyの下位互換にすぎません。midjourneyも他人の絵柄を読みこむことができるし、日本風のイラストにもどんどん対応しはじめています。
mimicはその言葉の意味通り、「マネしてバカにする」ことを無意識にしてしまった結果、イラストレーターたちの逆鱗にふれて画像生成AIとしてまず槍玉にあげられてしまった。
画像生成AIの議論のキッカケになったという意味では、とても歴史的な炎上だったのかもしれません。
今回は以上です。よきクリエイティブライフを────ではまた。