自分は2012年の「はちま起稿事件」からステマの存在をしりました。
「流行のウラにはカラクリもあるんだなぁ」と驚きました。ネット流行語大賞2012の金賞に選ばれるほど話題になったので、しっている人もそれなりに多い事件だとおもいます。
それから、自分が本をだした角川でも日常的にステマが行われているのをみて、いよいよステマの根の深さをしって興味を深めた次第です。
また近年では、ディズニーのアナ雪ステマ事件が話題になり、この記事を書く後押しとなりました。
以下、日本のネットのステマについて、メモがてらまとめておきます。
この記事の目次
「ステマってなーに?」
「カンタンにおしえて!」
消費者に宣伝と気づかれないように宣伝行為をすること
ステルスマーケティング - Wikipedia
▲ これをステルスマーケティング、いわゆる「ステマ」と呼びます。

どゆこと?

企業からおカネをもらっているのに、あたかも宣伝じゃないように宣伝すると、それはステマだってことだ

あ~~、ほんとうは宣伝広告なのに「趣味でかいたマンガ」ってことにしてツイッターとかにのせちゃうやつこと?

具体的すぎる。まぁ広告はちゃんと広告として掲載しないといけないってことだな

たとえば上のAmazonリンク(商品の広告)とかは、べつにステマにはならない

なんで? 広告っていってないのに広告のせてるじゃん! ステマだステマ!

ちがう。上のAmazonリンクは、広告だってわかるよな? すくなくともリンクをふめば明らかに広告だとわかる。それにこれは、企業から依頼をうけて商品を紹介してるわけじゃない

あー、そっか

ちゃんとAmazonのサービス(成果報酬型広告配信)をつかって、広告を広告として掲載しているからな

歯は大事にしなくちゃね!

ただもちろん、「この商品を紹介してくれ!」って依頼を企業から直接うけたなら、ステマにならないように、そのことはしっかり冒頭で伝えないといけない。記事に「PR」とかつけたりな

あー、YouTuberが「企業案件です」って動画だしてるやつも?

そう。説明欄にもちゃんと企業名を書いてるYouTuberがほとんどだろう。あれもステマじゃない。正しい宣伝広告だ

なんで広告だってことをちゃんと伝えないといけないの?

ほかの純粋な宣伝活動に悪影響をあたえるからだ。同業者だけでなく、あらゆるネットユーザーにも大迷惑をかける。それにもし────ステマだってバレてみろ

ヒェ

消費者は「だまされた」と感じ、怒る。炎上だ。ディズニーほどの人気企業でさえ燃えた。もちろん、だまされた上で彼らをかばうファンも多いだろうけどな

「ふつうの広告」と「ステマ」は…………別モノなんだね

ちょっと定義がわかりづらいとこはあるけどな
「ステマのなにが悪いの?」
- 疑いが疑いをよぶ
- 消費者のおおくは騙されたと感じる
- 市場がコントロールされる
- 他社商品の中傷につながる

一番の悪影響は、疑いが疑いを呼んでしまうことだ

うたがいが、うたがいをよぶぅ?

「これもどうせステマでしょ」「あいつもステマやってんでしょ」────みんな疑うよな? 大々的にニュースになっちゃったりしたら

ボクはあんま気にしないかなー!

そういう消費者もたしかにいる。でもそうじゃない消費者もおおいだろう。もう騙されたくない、だから疑う。「ステマ企業」「ステマ漫画家」と区別をする

まぁ、だまされたらムカツクけどさ

「他人を騙してもいいや」とおもえるニンゲンたちが、市場をコントロールする。これについてはどうおもう?

世の中ってそんなもんでしょ

そのせいで、オマエがすきなゲームや映画が埋もれて、流行らなくなったら? ステマのために中傷されて、ステマコンテンツばかりが流行ったら?

それは超ムカツクね! でも────

でも?

自分がもし、その「ステマされた作品」のことが大好きなら、かばっちゃうかな……

まぁ────それも消費者の心理かもな

ステマって悪いことなのかもしれないけど、作品やクリエイターを盾にされると、「悪いことだ!」って言いづらいんだよね。ファンからも叩かれるっていうか

ああ。だからこそ一部の企業は、こそこそステマを続けてるんだろう
「火消し業者って?」

火消しってなに? よくきくけど

ネットで炎上事件がおきたとき、当事者や関係者からの依頼をうけて、「炎上を鎮火するために活動する業者」のことだ

そんなヤツらいるのぉ? 陰謀論でしょぉ~?

いる。というか────「火消し業者でーす!」って名乗ってるわけじゃないんだ。「ネットコンテンツ最適化サービス」「ネット風評監視サービス」「ブランドコントロールサービス」とか、一見してよくわからないような事業説明で、炎上事件の火消し活動をおこなっている

ネット風評監視サービス…………なんかきいたことあるなぁ

ちゃんと実在している。一部上場企業の関連会社で、立派な社屋をもっているところだってある。「ネットの火消し活動」は、もはや「産業」として成りたっているんだ。もちろん各社で業務内容はちがうだろうけどな

そいつらがTwitterとかで当事者たちの擁護してるってこと? 批判者たちをこきおろしてるのも火消しなの?

厄介なのは、ステマと同じく「火消し業者も正体がつかみづらい」ことだ。純粋なファンなのか、火消し業者なのか、ほとんど見分けがつかない。マニュアルがしっかりあるんだ。まぁ、たまにマニュアルそのまま貼りつけて、業者バレするやつもいるけどな

じゃあ、ほとんどわかんないじゃーん

ひとつ目安になるのは、「運用実績の浅いアカウント」だな。いわゆる「捨て垢」でSNSをやっているようなユーザーだ

そいつらを業者って疑えばいいの?

それもまたむずかしいとこだな。火消しは年々巧妙化してる。ステマのように、影響力のあるインフルエンサーに鎮火活動を依頼することもあるし、「ちゃんと一般人が運用しているように見せている業者アカウント」だってある

えーー、じゃぁやっぱわかんないじゃーーん! だれ疑えばいいのーー?

ステマ業者といい火消し業者といい、ホント厄介だよな。だからこそネットユーザーから問題視されてるんだ

ステマのウラには、火消しがいるんだねぇ
「過去の有名なステマ事件は?」
ざっくり一覧です。
ディズニーアナ雪ステマ事件
2019年、ひんやりしてきた冬の日に、真っ赤に燃えさかりました。
日本ディズニーが、Twitterで人気の漫画家たちを使い、アナ雪のステマ漫画をつくらせました。PR表記をつけないように指示。後日一斉に漫画家たちが謝罪文を掲載するなど、漫画家をコントロールしてステマと火消しをおこなっていたことで、さらにネットユーザーの不信感をあおることになりました。
また、ほかの有名なディズニー映画作品でもステマをおこなっていたことを後日明らかにしています。ネットニュースだけでなくテレビニュースでも報道され、大きな事件に発展しました。Twitter漫画家をあつめたステマ業者の存在も注目されています。
▼ 関連

はちま起稿・2chまとめブログ事件
2chまとめブログ「はちま起稿(株式会社KND)」のステマ炎上事件を発端に、各種大企業(角川・ソニーなど)とステマ業者とのつながりが芋づる式で発掘された事件。この事件をうけ、ネット流行語大賞2012で「ステマ」が金賞を受賞。
ネットにおけるステマ炎上のパイオニア(?)といってもいいような事件。
余談ですが、この事件のあと自分は角川から小説執筆の依頼をうけまして、実際に自分の作品でもはちま起稿さんでステマ記事を書いていただき(?)ました。もちろん自分自身が頼んだわけじゃないですが。だからこそ「ステマってあるんだなぁ」となおさら身近に感じ、興味がわいたわけです。
今でこそ角川サイド・はちま起稿サイドは距離をとっているようですが、当時は密接につながりがあったようです。
▼ 関連(あくまで有史によるwikiなので注意)

食べログやらせ事件
食べログで組織的にやらせレビューを投稿していた業者が明らかになり、炎上した事件。
もう何年も前の事件ですが、いまだに食べログではやらせレビューが横行しており、決定的な対策がうてていないようです。2012年だけでなく、2017年にもトップレビュアーのやらせレビューが発覚して炎上しました。
Amazonストアでもやらせレビューが未だ横行しているように、「レビューが書き込めるサイト」の完全な清浄化はむずかしいようです。ネットユーザーのリテラシーが、利用者として具体的に問われた事件ともいえそうです。
▼ 関連

芸能人ペニーオークション事件
関与した芸能人がだいたいテレビから消えたことで有名。
▼ 関連

吉本 京都市ステマ事件
吉本のお笑い芸人が、京都市から多額の報酬をうけ、Twitterでステマをおこなった事件。
近い時期におきた「吉本の闇営業事件」も相まって炎上がひろがった印象でした。「たった1ツイートでこんなもらえんの!?」とおどろいたネットユーザーはおおかったとおもいます。また、市民団体によって監査請求が行われたりもしました。
▼ 関連

▼ 関連

ソニー デビッド・マニング事件
「デビッド・マニング」とは、米ソニー・ピクチャーズが捏造した「架空の映画評論家」です。
つまり、架空の映画評論家をつかって、自社映画を褒めまくったわけです。2001年に発覚し、映画愛好家たちが訴訟、2005年に150万ドルの賠償金を支払うことで和解しました。
▼ 関連

ソニー ゲートキーパー事件
ソニー社内から複数のWEBサイトで、自社商品をほめちぎって他社商品を中傷する書きこみが発見され、炎上した事件。
この事件では、「自社商品を売るために他社商品を中傷する」という性質のステマ手法がとくに注目されました。前述のデビッド・マニング事件にもいえることですが、レビューを書くということは、ほめたり、けなしたりするということです。ただただほめるだけの人間は、レビュアーとして信用されません。
ステマが「他社商品を貶める」側面を秘めていることが具体的に明らかになった事件ともいえます。
▼ 関連

「ステマなんてどこもやってるよね!」
「どこもやってる」より、「どこもやってた」というほうが近いとおもいます。
具体的には、ねとらぼをもっているITmediaですね。ITmediaもかつてステマをおこなっていて、週刊ダイヤモンドの取材で明らかにしています。今となっては「ステマを叩く側」のITmediaも、むかしは当事者側だったわけです。なおダイヤモンドの取材に対して、ITmediaは「いまはもうステマはやっていない」と答えています。
▼ ダイヤモンドのステマ特集(関与したネットメディア一覧が掲載)
ネットでステマが叩かれはじめてから、「やっべ……炎上する前にそろそろやめとこ……」と、各種ネットメディアがステマをやめはじめたわけです。
個人的には────おそらくすこしずつ、ステマをする企業はへっていくとおもいます。
「お決まりの言い訳は?」

ステマとは認識していない

ステマの意図はなかった
まとめ「もはやただのバッドノウハウ」

ステマがバレたらさぁ、大炎上しちゃうのにね。なんでやっちゃうんだろ

バレなきゃいいやとおもってるんじゃないのか?

リスクよりメリットのほうが高いとおもってるのかなぁ?

だろうなぁ。日本ではステマの法整備があまり進んでいない。法で裁かれないならなにやってもいい────そうおもっているニンゲンは少なからずいるだろう

ステマ、なくなるの?

完全になくなるのはムリだとしても、減っていくとはおもうぞ。「ステマ」というワードがこれだけネットユーザーに浸透してるのも、2012年以前ではかんがえられなかったことだ

たしかに、ステマって言葉をきいたことのないヒトは、今ではほとんどいないだろうね!

ステマという言葉が認知され、叩いて当然という風潮ができた。それだけでも当時と比べたらスゴい変化さ

まっ、アナ雪は名作だけどね
今回は以上です。よきネットライフを────ではまた🐺