昔はノベルゲームの立ち絵差分作りっていうと、マジで地獄の作業でした。(技術力高い方々はPhotoshopなどで自動処理してたかもですが)
それが近ごろは、神ツールの登場で比較的ラクな作業になりました。
そのツールの名前は「PSDTool」。
以下、PSDToolを使った立ち絵の表情差分作りについてメモがてら書いていきます。なおタイトルに「クリスタ」「ティラノビルダー」と書きましたが、単に自分がその両者を使っているだけで、他のペイントツールやノベルエンジンでも応用可能です。
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この記事の目次
PSDToolとは
公式トップ
公式マニュアル
PSDTool、ボイロ実況の立ち絵作成などで広く使われているツールですね。ノベルゲーム制作でも便利そうなので使わせていただきました(実際めちゃくちゃ便利)。
詳細な使い方は上記の公式マニュアルをご参考ください。
PSDToolを使うと何故ラクチンなのか
PSDToolを使うと、「差分1枚1枚出力してサイズ調整」という手間が省けます。
- レイヤー構造そのまま読み込み可
- お気に入り機能で差分登録可
- 画像サイズの一括変換可
- パーツ切り替えがカンタン
- オンラインですぐ出来る
そして上記の理由で、「後々の立ち絵修正がラクチン」になります。
クリッピングやマスクや不透明度、オーバーレイ設定なども引き継いでくれます。
またお気に入り項目はエクスポート(出力)とインポート(取込)が可能です。レイヤー名やレイヤー構造さえ一致していれば、あとで立ち絵本体を描き直してから読み込んでも問題なく表示できます(立ち絵の座標を変えてもOK)。
こんな便利ツールがなかった頃は、「立ち絵の修正=差分すべて出力し直し」であり、立ち絵を後で修正するなんてことは言語道断だったと思います。
(ノベルエンジンによっては「顔パーツだけを切り替える」機能がありますが、調整の難易度が高く、動作も不安定なことが多い。もし不具合が生じれば「顔パーツだけ浮いてる」というホラーな状況が生まれてしまうし、昔そういうギャルゲがあってクソゲーオブザイヤーとってた。まるまるPNG出力したほうが無難)
ざっくりフローチャート
- 基本立ち絵を描く
- 表情差分でフォルダ分け
- PSDに変換
- サイズ調整
- PSDToolで差分作成
- TinyPNGで圧縮
- ノベルゲームへ
基本立ち絵を描く
ここは説明するまでもないと思いますが、一応自分の立ち絵の描き方は↑の記事で軽く説明しています。
表情差分でフォルダ分け
表情差分を描き、フォルダ分けしていきます。
「*」と「!」をレイヤー名やフォルダ名の先頭に描くことで、PSDToolでなお便利に読み込むことができます。
公式の説明記事
たぶん↑の記事のほうが詳細でわかりやすいと思います。以下、ざっくりと。
「*」をつけると、PSDToolでのパーツ切り替えがラクにできます。(ラジオボタンがレイヤーに表示され、そこをクリックするだけで一発でパーツを切り替えられる。切り替えるパーツには基本的につける)
「!」をつけると、PSDToolでの表示をシンプルにできます。(チェックボックスとラジオボタンを非表示にするため、見やすくなる。フォルダには基本的につける)
無記入なら、チェックボックスが表示されます。(チェックボックスのON・OFFでひとつひとつ表示を切り替える)
なお、他にはとくに決まりがないので、自分の好きなレイヤー構造をそのまま読み込むことができます。
「眉」や「目」や「口」などの差分をゴリゴリ描いて、フォルダ分けしていきましょう。(服装差分やポーズ差分も工夫次第でできます)
PSDに変換
差分描いてフォルダ分けも済んだら、PSDファイルに変換しましょう。
「PSD」というのは「Photoshop Document」の略です。つまりAdobe社のPhotoshopの規格ですね。Photoshopじゃなくても作れますのでご安心をば。
自分の場合は「CLIP PAINT STUDIO PRO(通称:クリスタ)」を使っています。「SAI」「 Fire Alpaca」「GIMP」でも何でもいけると思いますが、今回はクリスタを例にして説明します。
「ファイル」→「複製を保存」→「.psd(Photoshopドキュメント)」
↑これでPSDファイルを出力できます。
普段はクリスタ独自形式の「.clip」で描きつつ、差分作りの時だけ「.psd」で出力して、PSDToolで読み込むと。これなら後々の修正もラクチン(お気に入りのエクスポートを忘れずに)。
サイズ調整
とりあえず足元まで描いて、あとでノベル用に表示位置を調整する場合は、PSD変換後にこの作業を行います。
レイヤー構造そのままで、キャンバスサイズを640×720に変更しました。
PSDファイルの段階でサイズをノベル用に調整しておけば、後でひとつひとつサイズ調整する手間を省けます。
で、修正したくなったら元ファイル(クリスタの場合は.clip)の大きなキャンバスで描き直して、また「PSD変換→サイズ調整→PSDToolでお気に入り出力」と。まぁ……結局手間はかかるんで、なるべく後から修正は避けたほうがいいですね。
(なお、最初からゲーム用のサイズぴったりでイラスト描いてれば、この作業は省けます。……後から修正や規格変更に対応できなくなるので、あまりないとは思いますが)
PSDToolで差分作成【本編】
いよいよPSDToolで差分作成していきます。
ただ、フォルダ分けでほとんど作業完了してるので、あとはかなりラクチンです。
「ファイルを選択」のあたりに、ファイルをドラッグしてぶっ込みます。
するとこんな画面が表示されます。
好きなように差分を切り替え、「お気に入り(★)」登録していきます。
このお気に入り機能が最大のラクラクポイントかなと。いやもうホント……差分作業がラクになりますわ……。
「≡」→「エクスポート」でお気に入りを出力します。
「画像をZIPファイルで~~」を選択します。
出ました。「favorites.pfv」はお気に入り設定ファイルで、ZIPに同封されています。
「favorites.pfv」はテキストエディタで開けます。中身めちゃくちゃシンプルです。
このpfvファイルをPSDToolにインポートすると、作業を途中から再開できます。
TinyPNGで圧縮
PNGとJPGをオンラインで圧縮できる超有名サイト
データが軽いに越したことはありません(特にブラウザノベルは)。
PSDToolで出力したPNGファイルを、↑のサイトのパンダに圧縮してもらいます。サイトにファイル群をドラッグするとゲージが溜まってパンダがパンパカパーンするので、圧縮ファイルをダウンロードします。
このパンダサイト、ほとんど劣化せずにめちゃくちゃ圧縮してくれるのでオススメです。
ノベルゲームへ
ティラノビルダーの素材として取り込みます。
表示できました。
ティラノビルダーの詳しい使い方については今回は割愛します。めちゃくちゃお手軽かつ直感的にノベルゲーム作れるのでオススメです。
関連
その他
Live2Dのパーツ分けとは別モノ
Live2Dのパーツ分けについて(公式)
Live2DとPSDToolのパーツ分け作業は、ほぼ別モノだと思います。
たとえばPSDToolは「目を閉じた差分」「眉を下げた差分」を描く必要がありますが、Live2Dの場合は不要です。
代わりにLive2Dでは、まぶたパーツを操作して「目を閉じる動作」を作ったり、眉パーツを操作して「眉を下げる動作」を作る必要があります。(つまりLive2D上で差分動作を作る)
- PSDToolは差分を描く必要がある。
- Live2Dは差分を描く必要はないけど、パーツ分けとモーション作成が大変。
どっちのほうがタイヘンかは、用途や個人の感覚によるかなと。個人的にはLive2Dのほうが20倍タイヘンです(座標が重要なため後々のイラスト修正がしづらく、3Dモデルみたいにお手軽にモーション使い回せないのもツラい)。
一応、Live2D運用も考えている場合は、それを意識しつつパーツ分けしておくと二度手間を防げるかもしれません。
3Dで立ち絵作る時代くる?【VRoid】
VRoid公式
3Dモデルで同人ノベルゲーム作る時代がくるかも? ────と思って自分はちょいちょい触ってます。
3Dモデルならモーション使い回しやすいし、VRoidならカンタンにキャラ作れるし、ノベルゲームにピッタリだと思うんですよね(あまり前例がないだけで)。
そんな時代が来ないとも限らないので、一応ご紹介をば。
まとめ
差分って……鬼メンドウクサイね
でも差分のおかげで、キャラがより生き生きとするんだ
差分描いて、「*」と「!」つけて整理して、PSDToolで読み込んで、差分をお気に入り登録して出力、TinyPNGで圧縮し、ティラノビルダーに取り込んで完成と。
差分作りはとてもタイヘンなので、神ツールを駆使してすこしでもラクしましょう。「もっとラクな方法あるよ!」という方いましたら教えてください。
今回は以上です。良きノベルゲライフを────ではまたφ(・ω・ )
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