「コンセプトアートを描いてみたい」
デジタルツールの普及がすすみ、コンセプトアートは以前より身近な存在になりました。興味のあるイラストレーターもふえてきたとおもいます。
以下、コンセプトアートの勉強中にみつけた「役立ちそうな情報」を、メモがてらまとめておきます。
この記事の目次
「コンセプトアートってなに?」
映画、コンピュータゲーム、アニメーション、漫画などで使用するデザイン・アイデア・雰囲気などを最終製品として仕上げる前に視覚化して伝えることを主目的としたイラストレーション
コンセプトアート - Wikipedia
つまりただのアート作品ではなく、「製品をつくるためにつかう、伝達を目的としたイラスト」というわけです。
シナリオでいうプロットのような役割。製品の方向性をきめる。
「世界観」「世界の奥行き」を伝えなければならないので、人物だけでなく、背景を描く必要があります。
また、一発で世界を伝える高い表現力が求められます。
「どうやって考えるの?」
「ざっくり考え方や工程をおしえて!」
以下、あくまで「有名なコンセプトアーティストたちの考え方・作業の流れ」をざっくりまとめたものです。
- ヒヤリングをする
- 描く要素をリスト化する
- 絵のメインをきめる
- 画像資料をあつめる
- シルエットをつくる
- 構図をねる
- 色をつける
- 最初にもどる(修正がある場合)
- サイクルを重ねてクオリティを上げる
- 描きこんで完成させる
つまりしっかりと「アウトライン」を組み、必要ならばその工程を繰りかえし、イラストのポテンシャル/クオリティをあげ、完成させると。
「参考になる記事は?」
▼ 「コンセプトアートとは?」を深くわかりやすく解説した記事
▼ マットペインターによる「基本」や「フォトバッシュ」についての解説
▼ コンセプトアートの構図やラフの工程に関する考察など
▼ 学生時代 ~ ポートフォリオの作成 ~ コンセプトアーティストとしての独立などの話
「写真素材はどこで手にいれるの?」
基本的に商用フリーの写真素材やテクスチャ素材をつかいます。
いまは無料で配布しているサイトがたくさんあります。以下は代表例です。
▼ Pixabay(写真素材)
▼ Texture Haven(テクスチャ)
▼ textures.com(テクスチャ。無料版は1日15点まで)
基本的に「海外サイト」で探しましょう。いまはGoogle翻訳があるし、日本語対応しているサイトもおおいので英語が苦手でも大丈夫です。
日本発のフリー素材サイトは、点数が少ないうえにUIも使いづらいものがほとんどなのでおすすめしません。
「3D素材はどこで手に入れるの?」
3D素材もいまは無料のものがたくさんあります。
また有料素材も手軽に購入できます。海外サイトでクレジットカードを登録するのが心配なら、PayPalで決済しましょう。
▼ Free3D
「なにをつかって描くの?」
以下、あくまで一般的な技術・ツールの紹介です。「弘法筆を選ばず!」というヒトは別の手法をさがしてください。
▼ 必要な技術
- フォトバッシュ
- マットペイント
▼ 必要なツール
- Photoshop
- 3DCGソフト
「フォトバッシュ?」
写真を合成して絵を描く技術です。
ゼロからすべてを描くよりも、絵を早く完成させられます。そのメリットからコンセプトアートで重宝されている技術です。
かなり新しい技術なので、ネットにはあまり解説がのっていません。なので自分は書籍で学習しています。
▼ 有名なフォトバッシュの動画
▼ 参考になる本
後述のマットペイントに対して、フォトバッシュは比較的カンタンに習得できる技術です。
「マットペイント?」
実写映像と背景画を合成する技術
マットペイント - Wikipedia
フォトバッシュに似ていますが、もっと広い技術です。
フォトバッシュで使用する素材は写真のみですが、マットペイントでは写真だけでなく「3DCG」も駆使してイラストを描きます。
3DCGツールの活用は難易度が高く、また非常に高価なソフトが多いため、マットペインターは慢性的な人手不足だといわれています。
▼ 参考になる本(Photoshop・Maya・After Effectsを使用)
「フォトショ使わないといけないの?」
「写真合成」でPhotoshopにかなうソフトは今は存在しません。
有名なペイントツールにCLIP STUDIO PAINT PRO(あるいはCLIP STUDIO PAINT EX)────通称クリスタがありますが、機能数がまったくちがいます。
クリスタはあくまで「ペイントツール特化」。写真のあつかいではPhotoshopに遠くおよびません。
なのでフォトバッシュやマットペイントの技術をつかう場合は、基本的にPhotoshopで描きます。
「3Dツールの値段エグくね……?」
プロ仕様でマットペイントをする場合────Photoshopが月額1000円、After Effectsが月額2500円、Mayaが3年間で637000円。
Mayaがトンデモナイですね。
Adobe製品はアマチュアでもちょっと背伸びすれば契約できますが(コンプリートプランを購入するのも手)、Mayaを筆頭とする3DCGツールはあまりにも高すぎる。
近年「Maya LT」というインディーズ向けのMayaも登場しましたが、3年間で100000円と、やはりアマチュアには手をだしづらい価格になっています。
一方で、無料の3DCGツールもあります。
もっとも有名なのは「Blender」です。
Blenderは有志の手で開発されている無料ソフトで、近年のアップデートで操作性が向上し、急激にシェアを伸ばしています。使用する企業もふえている。
▼ Blender
ただもちろん、プロの現場ではいまだに高額な3Dツールが断トツのシェアを占めており、企業につとめる場合はMayaや3dsMaxなどの習得がもとめられるでしょう。
「作例はどうやって探すの?」
「コンセプトアート」「concept art」でGoogle画像検索します。
または海外サイトの「Deviant Art」で探すことも可能です。日本にはコンセプトアーティストが少ないので、基本的に海外で探します。
▼ イラスト投稿サイトDeviant Art(concept artで検索)
まとめ「難易度が高く人手不足もナットク」
コンセプトアートは、要求スキルが非常に高いです。
- コンセプトのくみ取り
- 背景
- 人物
- Photoshop
- 3DCG
ふつうは分業でやるような仕事量を1人でこなす────こんな難易度の高い仕事、慢性的な人手不足になって当然。
もっとも高い壁になっているのが、「高額な3DCGツール」。これはアマチュアではまず手がだせません。
ただ、Blenderを代わりにつかったり、3DCGツールはつかわずフォトバッシュのみで描いているプロのコンセプトアーティストもいるので、工夫次第かもしれません。
今回は以上です。よきアートライフを────ではまた🐺
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