開発者のアヤラ氏がTwitterでユーザーに問いかけました。
「どうしたらみんなHSにもどってくる?」
2019年2月現在、ハースストーンは危機的な状況にあります。ベンブロード氏をはじめとするコアメンバーの退社、過剰なストレスを強要するゲーム性、eスポーツ部門のパワハラ告発、BLIZZARD社の大量レイオフ(一時解雇)────ボロボロです。
そしてこの期を逃すまいと、「MTGアリーナ」が猛攻をしかけています。ハースストーンに失望したプレイヤーが、MTGアリーナにどんどん移っている。
だからこそアヤラ氏は「どうしたら戻ってくる?」とユーザーに問いかけた。それほどまでに厳しい状況であるとゲームデザイナー本人が自覚しているわけです。あっというまに1000以上のリプライがつき、すさまじい量のアイデアが出ました。
そんななか────興味ぶかい意見をTwitterでいくつか見かけました。
「アヤラ氏はそんな質問をするべきではない!」
上記の意見、とても不思議でした。どういう観点からモノを言っているんだろうと。
よくよく主張をたどってみると、どうやら「今のハースストーンを楽しめないヤツらが悪いんだから開発者は謝るなッ!」という意味らしい。
「頭プリーストだなコイツら」とおもう一方、興味ぶかい思考でもありました。
この記事の目次
「クソ環境を楽しんでいる人間がすくなからずいる?」
いまのハースストーンはクソ環境です。だからユーザーがたくさん逃げた。
OTKと偶数奇数と聖職者だらけ。こんな環境で過剰なストレスを感じないユーザーのほうが頭おかしい。
だけど、そういう「頭おかしい」ユーザーがすくなからずいる。そしてその「頭おかしい」は、かならずしもネガティブな意味ではない。
「はははっ、クソゲー!」
ハッカードルイド・メックトゥーンウォーロック・実験体プリースト・クエストメイジで盤面の対話をせずにOTKきめるの超たのしい! DKレクサーのおてがる無限リソースでコントロールつぶすの超たのしい! 壁プリさいこー! 偶数奇数ばんばんざい! デッキの多様性とかどうでもいい! いまのハースストーン大好き!
「クソゲーの押しつけ合い」を純粋に楽しんでいるユーザーがたくさんいるわけです。
そう考えるとたしかに────
開発者本人が「いまのハースストーンはダメなゲーム」と認めてしまったような発言は、純粋に楽しんでいる愛好者にはムッとする内容だったのかもしれない。
「今のハースストーンは本当にクソゲーか?」
ただ間違いないのは、ハースストーンには良ゲーの面もあるということ。
ウンゴロはほぼ満場一致で神環境だったでしょうし、いまの環境でもマッチング次第では名勝負が生まれる。
いまのハースストーンをけなしているユーザーも、べつにハースストーンのすべてをけなしているわけじゃない。
ただのクソゲーだったら、こんなに多くのユーザーに愛されるはずがない。
自分だってハースストーンは大好きです。ただ、今はクソな部分もたくさんあるとおもっている。「良くなってくれ」という想いで批判しているし、「クソクソいいながら楽しむのがハースストーン」だとおもっている。
「批判者を批判しているユーザー」は、おそらくそのへんを勘違いしている。
あるいはただ単に、「自分がけなされているようでイヤだ!」という「ハースストーン愛」でもなんでもない思考なのか。
「開発者がSOSを出すのはわるいこと?」
ハースストーン公式が「いまの状況はヤバい!」と自覚している。
そしてアヤラ氏がユーザーに問いかけた。
正直いって完全に迷走している。おおくのユーザーはさらに「イヤな予感」を強めたとおもいます。
公式は「クソ環境愛好者」と「離れかけたユーザー」を天秤にかけて、後者にかたむきつつある。
心配なのは負のスパイラルです。中途半端に「カムバックキャンペーン」をしかければ、だれも戻ってくることなく、クソ環境愛好者の心すら離れてしまう可能性があるのでは。
そういう点で、アヤラ氏の質問はおおきな意味をもっていると思いました。
「どうすれば戻ってくるとおもう?」
以下、1プレイヤーとしての意見です。
- トーナメントモードでは戻らない
- 手札に干渉する中立カード
- 主役はミッドレンジ
- ラダーを意味あるものに
- ハードユーザーむけコンテンツ
「トーナメントモードの実装」────これをうったえている元eスポーツ担当者がいましたが、正直「はなれたユーザーをもどす」という意味では効力がないとおもいました。
ただしトーナメントモード実装そのものは大歓迎。いまのハースストーンは「やることが少なすぎる」ので。配信者をまきこめば面白いことができるはずです。
「手札干渉の中立カード」────OTKデッキは「ファンデッキ」なら笑いごとで済みますが、ガチ強いOTKデッキだらけの環境なんてだれがどう考えてもクソです。
とはいえ、開発者が意図的にOTK要素をふやした結果がいまなので、OTK要素さえ減れば手札干渉の必要性はうすまるとおもいます。
「主役はミッドレンジ」────「アグロ」と「OTK」はクソゲー感がとてもつよく、「好み」が激しくわかれてしまう。もちろん両方ともゲームに必要なスパイスですが、ミッドレンジを基軸とした環境のほうがユーザー満足度のバランスは良いのでは。
「おてがる無限リソース」もカンベンしてほしい。どんなに盤面で努力しても、たった1枚でカンタンにぶち壊されるんじゃ、ゲーム性もなにもないです。
「ラダーの意味」────現状ではレジェンドに到達しても、「おれレジェンドだぜww」とイキるくらいの意味しかありません。カード報酬だけならランク5で十分。対戦たのしむだけならカジュアルで十分。ラダーを回す意味をふやしてほしい。
「ハードユーザーむけコンテンツ」────ハースストーンは「初心者にやさしい」のがウリだとおもいますが、3年4年もたつとさすがに「飽き」がでる。その飽きを緩和する新要素もなかなか出てこない。そればかりかクラシックカードを大量ナーフして初心者の参入障壁を高めるだけでおわってる。
アドベンチャーを楽しんでいるユーザーは、ごく少数だとおもいます。さいきんはアドベ報酬もショボいですし、なおのことマジメにやる人すくないのでは。
以上、好き勝手に意見をかきました。
ただ────いまのハースストーンチームに果たして「変革する体力」が残っているかは疑問です。ベンブロード氏をはじめとするコアメンバーが退社して、「本来のハースストーンの意図」を理解している人間が社内にどれだけ残っているのか。
そしてユーザーは好き勝手な意見しかいわない。批判者も擁護者も。
「ビジネス的にムリなんだよ……!」と否定されるようなアイデアばかりをきっと先方にぶつけている。
ハースストーンはこのままどうにもならないのか。
まとめ 「ハースストーンが好きだった」
大なり小なりハースストーンが好きだから、プレイしている(いた)わけです。
批判するためにハースストーンはじめた人間なんてほぼ皆無では。とくに、年単位でプレイしているユーザー。
始祖たるMTGが20年以上愛されているのに、ハースストーンが3年やそこらで完全に愛想つかされるなんてことあるはずない。
ハースストーンのUIはすさまじく優れている。万人に愛されるシンプルさがある。「土地」の事故もなく、説明文も長すぎない。とってもわかりやすい。子どもでもできる。だからこそ「ハースストーン系」のゲームがどんどん出てきた。
いまMTGアリーナに移っているユーザーも、「ハースストーンまた面白くなったらしいよ!」と聞けばすぐ戻ってきますよ。カード資産はある程度のこってるんだから。
自分もMTGアリーナいまやってますが────「ハースストーンってMTGの〝イイとこどり〟だったんだなぁ」とおもうことがおおい。MTGのゲーム性はとてもフクザツで、わかりにくいところがある(だからこそMTGは長く愛されているのかもしれませんが)。
つまらなければやめる。おもしろければまたやる。
ただそれだけの話では。
だれも意見をいわなくなったときが、ほんとうのオワリだとおもいます。
今回は以上です。ハースストーンが長く愛されることをねがいます。
プリーストはヒーローごとスタン落ちしろ。
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