ハースストーンをはじめたのは2015年。
最初の拡張「ゴブリンvsノーム」や、アドベンチャー「ナクスラーマスの呪い」がまだスタンダード環境にあった頃でした。
長年ハースで楽しんできましたが、ここ一年ほどはスタンをやりこんでいません。
なんとなく飽きたから遊ばなくなったわけではなく、明確な理由がいくつかあります。以下、一年で見えてきたこともあるので、整理のためにもまとめておきます。
この記事の目次
「バトグラでよくね?」
オートチェス系の新モード「バトルグラウンド」。2019年後期に追加され、多くのスタンダードプレイヤーを奪いとりました。
- 無料であそべる
- 新鮮
- 低ストレス
当時のスタン環境は、運ゲー加速とバランス崩壊の一途をたどっていました。まもなくデーモンハンター(後述)も導入され、ほぼ完全に壊れました。
その時プレイヤーにさしのべられた救いの手が、バトグラでした。
無料で新鮮で、しかも低ストレスのゲームモード。もともと人気だったオートチェスジャンルのシステムを模倣したため、最初からクオリティも高かった。
著しかったのは、Twitch配信者(ストリーマー)のバトグラ移住です。
スタン環境にあきれ果てた海外ストリーマーの多くが、バトグラという新天地に移住しました。結果、2021年2月現在、Twitchの「ハースストーン」配信の大多数を占めるのはバトグラとなりました。
「年々カードが高くなってる……」
- パックの高額化
- 総カード枚数の増加
- 総レジェンド枚数の増加
ハースのカードパックは年々高額になっています。また総カード枚数、総レジェンド枚数もふえています。
つまり、「つまらなくなったくせに値段だけ高くなっている」。
高いということは、資産が集めづらく、デッキ構築を楽しみづらい。
2016年「旧神のささやき」のレジェが21枚、2020年「ダークムーン・フェアへの招待状」のレジェが29枚。無料配布レジェもいますが、それを抜いても総枚数は増加の一途です。
しかもレジェは元々各クラスに1枚しかなかったのに、今では各クラスにレジェ2~3枚が当たり前になった。結果、中立レジェの数がへり、デッキ構築の楽しみが大幅に削られました。
またゲーム内通貨で解放できる「ソロアドベンチャー」の構築カードもなくなりました(2020年に一度復活しましたがすぐまた廃止)。当時、アドベ解放は低課金ユーザーのわかりやすい第一目標で、皆せっせとゴールドをためていました。確実に強い資産がふえるので、低資産ユーザーにやさしいシステムでした。
そしてデーモンハンターの登場。
ヒーローがひとり増えれば、当然パックから得られるクラスカードは分散し、低資産でのデッキ構築はしづらくなります。
「パックのカードがダブらなくなる」というシステム改善はありましたが、エピックとレジェンドの排出確率に変化があるわけでもなく、その程度じゃぜんぜん足りないという印象でした。
「デーモンハンターというトラウマ」
2020年に追加された新ヒーロー「デーモンハンター」。
「最初期デモハン」は、多くのハースプレイヤーにトラウマを与えた、史上最悪の存在です。
「公開1日で4枚ナーフ」「最終的にデッキの3分の2がナーフ」「できないことがない」「クラス特性は〝万能〟」。
回復もドローもアグロもコントロールもOTKも、なんでもできてしかも強い異常な存在です。ハースは各ヒーローに「苦手なこと」が用意されていますが、当時のデモハンにはほぼ存在せず、ほかのヒーローたちの個性を絶対的に否定しました。
結果多くのプレイヤーに「つまらない」という感想をいだかせた。
またデモハンの登場は、「現ハース開発者の未熟さ」を浮き彫りにしました。バランスもへったくれもなかった。
ナーフに次ぐナーフで弱体化していきましたが、ナーフ程度でどうにかなるデザインではなく、長期にわたり最凶ヒーローとして鎮座しつづけました。
「9ヒーローのハース」を好んでいたプレイヤーは、デモハンの登場とその雑な調整に疑問をいだき、離れていきました。
「コアメンバーほとんど退社したよね」
ハースを作りあげたコアメンバーは、ほとんど退社しました。
当時BLIZZARD社は、従業員を大量解雇したり、人事でもめていました。どういうゴタゴタがあったかは当事者のみがしりますが、その流れでハースのコアメンバーが一斉に会社を辞め、別の会社を立ちあげました。
当時のハース開発者は、よくプレイヤーの前に顔をだし、奇抜なプロモーションをたくさん行っていて、ファンの多い開発者でした(もちろんアンチもいますが)。そんな彼がBLIZZARD社をやめて、みんなショックを受けました。
そして旧開発メンバーの退社と、スタンのバランス崩壊のタイミングがピッタリ重なってしまった。
旧メンバーが開発にかかわっていたのは、インタビューから「大魔境ウンゴロ」「仁義なきガジェッツァン」ごろまでとされ、そのころはちょうど「今までで最良の環境」と評価された時期でした。
タイミングがあまりにも重なってしまったため、「昔の開発者のほうがよかったんじゃね? 今の開発者ヤバくね?」という不安がひろがりました。
また、功労者の自主退社や大量解雇をひきおこしてしまった、今のBLIZZARD社にも不満がつのっていきました。
「過剰なストレス」
カードゲームは高いし、頭つかうし、運ゲーだし、神経をすりへらします。
自分の場合、バトグラは10時間でものんびり遊べますが、スタンダードは2時間で自律神経が悲鳴をあげはじめ、それ以上やればストレスで吐きそうになります。
1対1の真剣勝負。アジアサーバーは煽りプレイヤーの温床。嫌がらせのために時間ギリギリまで使い、エモート連打。放置ボットも多数。度が過ぎた運ゲーでランクは乱高下。不快なデッキがティア1。的はずれなナーフ調整。開発者はTwitterでレスバトル。
「デッキ構築」の楽しさがストレスを上回っていた時期は、それでも毎日のようにプレイしていましたが、デモハン登場やバランス崩壊、パックの高額化で今は厳しいです。
過剰なストレスと戦う意味を、すこしずつ見失いました。
「運ゲーにしすぎでは?」
「運ゲー(RNG)」はハースの面白いところです。
ですが、いくら甘くておいしいからといって、毎日三食ショートケーキを口に突っこまれ続けたら吐きます。
「発見」という三択効果は、ハースストーン最大の発明と呼ばれていましたが、あまりにも発見カードをふやした結果、嫌うプレイヤーがふえました。
「ヨグ=サロン」にしてもそうです。かつて「旧神のささやき」でヨグ=サロンが導入されたときは大騒ぎになり、賛否両論の評価をうけました。それを好感触とうけとったのか、数年後、ヨグ=サロンは呪文になり、比較的カンタンに連発できるようになりました。どんなに盤面を固めても、1回の運ゲーですべてを台無しにするデッキが誕生しました。
運ゲーがウケたからといって、インフレさせてしまった。
勝っても負けても運ゲー。ランキングは試行回数がものをいう。実力がでるかどうかなんて、ほとんどのプレイヤーにはわからない。あるのは圧倒的な「運ゲー感」。
「ランクリセットの徒労感がスゴい」
ハースはランクシステムを変更しました。
結果、毎月ランクが最下層までもどるようになりました。
開発者は「内部レートがあるからランクはもどしやすい」と言いますが、その「内部レート」が生まれたせいで、表示ランクの価値が絶対的に下がりました。
内部レートは、上級者と初心者が当たりづらくするための処置です。
つまり初心者救済システムであり、中上級者はただ苦しむだけです。またそもそも今のハースストーンに初心者はほとんどいません。
内部レートは複雑なシステムで、バグが起こることもあり、メカニズムも明らかにされていません。それなのに「上級者はランク上げやすいから大丈夫だよ!」と言われても、見かけのランクが重くのしかかり、ランクマッチを回そうという気持ちは削がれていきます。
どんなにがんばっても、リセット。
このランクシステム変更は、明確に「改悪」であり、多くのスタンプレイヤーからモチベーションを奪う原因となりました。
まとめ「〝今は楽しくなったよ!〟は信用できない」
遊ばなくなる理由が、あまりにも多すぎた。
「今はマシになったよ!」と誘われることもありますが、実際にプレイすると何も変わっていない or むしろ改悪されていることがおおく、そのたびに騙された気分になりました。
そもそもスタンに残り続けたプレイヤーは、まともな精神力ではない。地獄に残りつづけた強靱な戦士たちの言葉は、あまりにも遠く感じました。
当たり前ですが、自分でプレイしない限り、その環境の良し悪しはわからない。
自分は一年前の記憶を基礎にしてこの記事を書いています。なのでもしかしたら、「今のスタンはマシになっている」のかもしれない。ですが今までのトラウマで信じづらいし、パックの高額化が進みすぎて復帰もしづらい。
たまに復帰キャンペーンが行われてることもありますが、正直その程度じゃ資産ぜんぜん足りない。新弾のダークムーン・フェアに1万円課金したものの、まったくデッキが作れなかった。今さらコツコツ資産を集めるモチベーションもわかない。じゃあ無料のバトグラや、他のゲームでいいんじゃないか。
さまざまな理由で離れてしまい、戻るキッカケもない。
以上が、自分がスタンダード環境で遊ばなくなった理由です。
今でもデイリークエスト目当てでランクを数回まわすことはありますが、資産もすくなく、楽しさがよくわかりません。バトグラのためにやっているオマケという感じです。
「どうすればハースストーン(スタン)に戻ってきてくれる?」
現ハース開発者の有名なアンケートですが、むずかしい質問です。ここまで壊滅的に変貌してしまったスタンに、帰れる場所があるのか。コアメンバーも退社したし、デモハンも出たし、ランクシステムも変わったし、これだけ変われば別のゲームです。
正直、開発者もスタンはほとんど諦めていて、「バトルグラウンド」「デュエル」「マーセナリーズ」などの新モードに期待をよせているのではと思っています。
今のハースストーンが目指しているのは、TCGというよりカードゲームの総合デパート。スタンはその一角の小さな高級店になっていく、というのが個人的な予想です。
またスタンをやることもあるとおもいますが、よほどのキッカケがなければバトグラほどハマることはなさそうです。月並みですが、今後のアップデートに期待したいです。
今回は以上です。よきカードゲームライフを────ではまた。