KDP(Kindle Direct Publishing)────Amazonの個人出版サービスです。
現在8作品を公開中。最高利益は2017年の40万円。2017年までは順調に成長、2018年でガクンとおちました。今年は利益半減です。
以下、お世辞にもトッププレイヤーとはいえない作家の分析なのであしからずです。
この記事の目次
売れなくなった原因の考察
Kindle Unlimitedの鈍化
現在KDPの売上は、「Kindle Unlimited」という読み放題サービスに依存しています。
読了ページ数におうじて報酬が支払われる仕組み。改行の仕方にもよりますが、いまは1ページ0.5円くらいでしょうか。なお、ストアに表示されるページ数とはちがうようです。具体的な計算式は非公開。
Kindle Unlimitedは月額980円。キャンペーン中だと二ヶ月99円なんて狂った価格のときもあります。
月に2冊以上よむなら、Kindle Unlimitedのほうが安上がりです。一気よみしたいときだけ契約して、よみおわったら翌月解除というハックもあります。ただ、好みの本が登録されているとは限らないし、検索能力がもとめられます。
そんなKindle Unlimitedがイチバン盛りあがっていたのは、2016~2017年でした。
Kindle Unlimitedは初動こそ注目されたんですが、「スタート1ヶ月たらずで予算を食いつくす」という異常事態におちいり、Amazonジャパンが「人気作を強制排除することで赤字をコントロールする」という暴挙にでたため、盛大にコケました。
99円キャンペーンでだましだまし維持してますけど、当時の盛り上がりはもうないです。
Prime Readingにのれない
プライム会員むけの無料読み放題サービス「Prime Reading」が、2017年にスタートしました。
ここからですね。自分はガクンと売上がおちました。
Kindle Unlimitedをつかっていたユーザーが、Prime Readingに流れてしまったから────というのが個人的な分析です。
冊数こそKindle Unlimitedに劣りますが、Prime Readingはプライム会員なら無料ですし、なにより「選定された本」が並んでいるので、クオリティが担保されている。
KDP作品がPrime Reading対応になるには、「中の人たち」に選んでもらう必要があります。中の人たちに気にいられたら、一定期間Prime Reading対応になり、ストアランキングでつよい恩恵をえられます。
ハッキリと明暗がわかれるサービスです。選ばれれば恩恵をえられる。選ばれなければ恩恵をえられない。ほとんどのKDP作家にとっては、邪魔なサービスです。
KDPで小説をたくさん売るには
わかりやすいジャンルの選定
純文学なんて曖昧なモノ、いまほとんど誰も読みませんよね。
KDPで売れてる小説は、「わかりやすいジャンル」であることがおおい。わかりやすいジャンルって、ファンタジーならファンタジー、百合なら百合、旅なら旅、えっちぃならえっちぃ、そのまんまなモノ。混じり気がなく複雑ではないモノ。
売れてるKDP作家に、ネームバリューのあるヒトはほぼ皆無です。作家の知名度なんてまったく関係なく売れてる。じゃあなにで選ばれているのか────ストア内での露出のおおさ、ジャンル買いだろうと。
「中の人たち」にとっても、わかりやすいほうが売りやすいんだとおもいます。
表紙のクオリティを高く
「表紙のクオリティ」が大きく売上に影響してます。
なお、えっちぃ本は例外です。シチュエーションさえ好みなら、表紙のクオリティが低くても問題ないという印象です。
確信にちかいんですが、「商品の説明部分」はほとんど見られていない。「オススメ買い」と「ジャンル買い」と「表紙買い」が大多数。
また「帯の重要性」を感じます。タイトルが内容に直結したわかりやすいモノならともかく、そうじゃないなら、帯がないと内容がわかりづらい。
ストアに選ばれなければ始まらない
KDPの悪いところでもあると思うんですが、「中の人たち」に選ばれることでしか、ストア内での露出経路をふやせません。
現状、「作家側が選べるキャンペーン」はほとんど無意味化しています。トップページのオススメに選ばれることがすべて、Prime Readingに選ばれることがすべて、KDPの一推し作家に選ばれることがすべて。
ストアで売れてる本を分析することが、イチバンだとおもいます。
イチバン大事なのは、読者に選ばれることではなく、ストアに選ばれること。すくなくともKDPでは。
宣伝効果のあいまいさ
宣伝すれば、たしかに売れます。
↓ 読んでください!
こんな雑な宣伝でも、売れてくれることがあります。
露出経路をふやしているんだから、多少は影響がでるのは当たりまえ。ただ、露骨な宣伝を繰りかえすほど、効果はうすくなっていきます。制作のリソースを奪われますし、「このヒト宣伝ばっかりだな」と呆れられるかもしれない。デメリットと隣り合わせ。
KDPで売れてる作家さんは、べつに有名人じゃないです。広告塔として強いヒトはすくない。Twitterアカウントすらもっていないヒトもいますし。そういう作家さんは、前述のとおり、ストア内で露出をふやしてます。
ただやっぱり────宣伝すると売れるのも事実なんですよね。
ここがほんとうに曖昧なところで。Twitterで、めちゃくちゃ積極的に宣伝している2人の作家さんがいる。両方それなりにRTされている。だけど売れているのは片方だけ。「宣伝は関係ない」とみるべきか、「内容による」とみるべきか。
自分自身の体験談をいえば、たまに宣伝すると、あきらかにグラフが動きます。数人分。きっと「新しいフォロアーさん」が、そのときはじめて作品を目にして、興味をいだいてくれたんだろうなと。あるいは「既存のフォロワーさん」が、タイミングがよくて読んでくれたか。
ただ────「繰りかえしの宣伝の効果」が、ちょっとよくわからない。はたしてデメリットに勝るのか。ためしに毎日宣伝してみましたけど、すぐにグラフの伸びは鈍化し、売れない時期と同じになった。
「効果的な宣伝とはなにか」。つきない悩みです。
まとめ 「あいまいは売れない」
「曖昧なモノは売れない」というのが、自分なりのストア分析の結論です。
ジャンルがわかりやすい、表紙がわかりやすい、説明がわかりやすい────これが最低限。読者に対してもそうだし、「中の人たち」に対してもわかりやすくしないといけない。
ただ、アタマではわかっていても、むずかしい。
書く側にも「好み」ってあります。その好みが、かならずしも大衆に合っているわけではない。とくに物書きなんて基本的に変人です。他人と趣味がかけ離れていることがおおい。
あとはもう、魂と覚悟の問題なのかもしれません。