【比較】マンガ図書館Zと漫画村の違いは?【海賊版サイトじゃないの?】

 

2018年8月、無料マンガ配信サイト「マンガ図書館Z」が出版社「実業之日本社」と提携し、「海賊版サイト対抗システムの実証実験」を開始した件について記者会見を行いました。

 

参考記事

Engadget | Technology News & Reviews

 

「電子書籍版YouTube」の実証実験サイト

Errors

 

第三者が作品をアップロードして、インセンティブを受け取れるシステム────「電子書籍版YouTube構想」とかなんとか。インセンティブって要するに利益分配ですよね。


で、素人ながらに思ったわけです。


「これ、海賊版サイトと何が違うの?」


以下、その疑問を解決するために調べたことや、気になったことをメモがてらまとめておきます。もし誤りがあれば有識者の方教えてください。

 

カンタン比較表

 

簡易比較表です。非合法性を問わず「強い」と思うメリットには青線を引きました。


なお「マンガ図書館Z」については、従来サービス内容と実証実験サイトの新サービス内容を複合した要素になります。


スマホで表が見にくい方向けの画像版も用意しました。

 

 マンガ図書館Z(実験サイト含む)漫画村
会員登録R-18版や投稿などには必要完全不要
広告有り有り
作者の利益有り無し
出版の利益有り無し
投稿者の利益有り無し
違法性ほぼホワイトほぼダーク
作品ジャンル絶版作品中心縦横無尽
コメント機能有り無し
アクセス数月100万人(2018年)月1億6000万人(2018年)
プレミアム登録月300円月500円(公開前に閉鎖)
作品数1万作未満(2018年)5万作以上(2018年)
ユーザー投稿有り無し
ストア誘導有り無し
公式アプリ有り無し

 

マンガ図書館Zのほうがホワイトですし、やれることは多いです。


ただ、漫画村の「登録完全不要」という利便性、法律を完全に無視した全出版社横断の作品収集、その結果たる「月1億6000万人」「5万作以上」という圧巻の数字が、「やっぱ漫画村ってヤベェな……」という感想を抱かせます。

 

 

気になる点

 

以下、個人的に気になった点について書きます。


呼称は「マンガ図書館Z」で統一します。「実証実験サイト」「電子書籍版YouTube」という名称は一時的なものでしょうし。


(マンガ図書館Z自体がしょっちゅう名前や参加組織やサービス内容を変えているのでややこしい。Jコミ→絶版マンガ図書館→マンガ図書館Z)

 

 

「マンガ図書館Zの違法性は?」

 

違法性はほぼ無いと思われます。


(ただしマンガ図書館Zは、著者に無断で作品掲載したとして過去に何度か炎上しています。著者の権利を侵害しない可能性がないとも言い切れず、「ほぼ」という曖昧な言い方をしています)


マンガ図書館Zの作品投稿手段は二つです。「作家本人の投稿」or「第三者の投稿」。


そしてミソなのは、「第三者の投稿は、(基本的に)権利者の許可がおりないかぎり公開されない」という点。ここで合法性を高めているわけです。

 

 

「利益分配は?」

 

詳細な分配率は見つけられませんでした(公開されてない?)。


マンガ図書館Zは広告収入の100%還元(有料会員などから収益確保)を謳っているので、「作家」「出版社」「アップロード者」の三者で利益分配が行われるものと思われます。


作家の総取りじゃないんですよね。

 

 

「アップロード者が複数いたらどうするの?」

 

ホントどうするんですかね……。


このへんけっこう、怪しい気はします。「第三者がアップロード→他の第三者がアップロード→著者が気がついて自分自身でアップロード」とかなったら、もうカオスですよね。


おそらく権利者の利益が優先されると思いますが、それはそれで「じゃあ第三者のアップロードにぜんぜんメリットないじゃん」って話になるので、どうするんだろうなと。

 

 

「YouTubeとはちょっと違うような……」

 

「電子書籍版YouTube」とのことですが、実態はかなり異なるように感じました。


YouTubeにおけるアップロードは、「事後承諾」が基本になります。YouTubeみていただくとわかると思うんですが、著作権侵害コンテンツだらけですよね(アニメもお笑い番組も音楽もマンガも)。


ある意味、YouTubeは世界最大の海賊版サイトといってもいい。Googleという企業は強大だし、多くの権利者も違反報告の対応に追いつかないため、ユーザーがやりたい放題の天国なわけです(もちろんルールはありますが)。


その点、マンガ図書館Zは「かなり権利者に気をつかってる」印象です。マンガ図書館Zは、第三者が作品をアップロードしても、権利者が事前許諾しなければ作品は公開されません(少なくともそう謳ってる)。


これは権利者にとってはメリットですが、「豊富なコンテンツ」「スピード感」「利便性」を求めるユーザーにとっては、事後承諾型のYouTubeと比べると大きなデメリットです。

 

 

まとめ

 

マンガ図書館Zの違法性はほぼない。海賊版サイトと違い、権利者に必ず利益分配される。海賊版サイトと違い、権利者の事前承諾が必要。海賊版サイトのシステムと比べると、合法性は高いが、スピード感に欠ける


電子書籍版YouTube構想。果たして出版業界という「泥船」に差し込む一筋の光となるのか、今後の展開が気になるところです。


今回は以上です。良きマンガライフを────ではまたφ(・ω・ )

 

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