「なんでイラストなんかにお金はらわないといけないの?」
こうおもってるネットユーザーはおおいとおもいます。
ゲームはユーチューブでみればいいし、マンガは漫画村(故)でみればいいし、イラストはピクシブとツイッターでみればいい。みんなタダ。
「クリエイターはタイヘン? しるかバカ。一生無償奉仕して、くるしんでろ」
「Skeb」は、そんな流れに逆行したサービスです。
「どういうサービスなの?」
「イラストコミッションサービス」です。
「コミッション」は、広くは「報酬」という意味。また「代金を支払って創作のリクエストをおこなうこと」という意味でもあります。
“依頼は一文字から
Skebとは短文で手軽にイラストを有償依頼できるサービスです。
今までイラストを依頼するにはメールでのやり取りが必須でした。指示書に納期、報酬の相談。個人的な依頼には高いハードルです。
入力内容を最小化することでハードルを解消し、自動翻訳により言語の壁を超えて世界中のファンとやり取りが可能になりました。”
Skeb - Loading app...
詳細は公式トップページをみてください。
要約すると、
- 依頼は140文字以内
- やりとり不要
- 自動翻訳だから言語きにせず
- 未払いの心配なし
- 権利はクリエイターに
画期的ですね。
あまりにもクリエイターに優しすぎる。
打ち合わせ不要だから、クライアントに文句いわれることもない。海外からの発注ものぞめる。開始時点で運営が報酬をあずかるから、未払いの心配はない。おまけに権利は、クリエイターのもの。
まさに、「描く」こと以外は最小限。
マジで?
「クライアントのメリットは?」
クリエイター側のメリットは、なんとなくわかりました。
ただ、クライアント側のメリットは、一体なんなんでしょう。
「すきなイラストレーターに、すきなイラストを描いてもらえる」
ここだけ切りとると、とてもすばらしいメリットです。でも、「ただし」がはいります。
「お金は払うけど、権利はクリエイターに。アレコレ指示はだせない。望んだクオリティじゃなくても、文句はいえない。できることは、鑑賞と、個人目的の二次利用だけ」
「は?」って感じでしょうね。無料に染まりきったネットユーザーにはとくに。
つまり、「クリエイター応援サービス」なんですよ。
クライアントのためのサービスじゃない。
クライアントにできることは、お金をはらって、クリエイターを応援して、イラストを描ける状況をつくってあげることだけ。
そして文句はいっちゃいけない。
できたイラストを鑑賞して、「いいことしたな~」とおもうことだけ。
「手数料は?」
“購入者が設定した価格に対する最大13.6%(※)の手数料
出金申請1回につき450円(税込)の事務手数料”
※ 2020年現在はキャンペーンに応じて6.8%~それ以下。
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ユーチューブのスパチャが、手数料30%です。
そうかんがえるとSkebの手数料最大13.6%は、とても良心的におもえます。
「応援したい」という気持ちが、ほとんどそのままクリエイターにいきます。
「納品期限は? 二次創作は?」
詳しくは、クリエイターガイドラインと、クライアントガイドラインをみてください。
個人的にきになった項目を、いくつか抜粋します。
- 金額は3000円以上300000円未満
- 料金表は設定できない
- リクエストは30日間が期限
- 納品は承認から30日間が期限
- 締切延長不可
- 1秒でもすぎると返金
- 再アップロード不可
- 強要は仲裁する
- クライアントは原寸サイズをDL可
- クリエイターは自由に作品を転用可
Skeb - Loading app...Skeb - Loading app...
なお、二次創作については、
“二次創作の場合は、同人誌と同様に原作者の権利を尊重し、二次創作ガイドラインを守った上で権利者利益を損なわない範囲で行ってください”
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二次創作部分について、個人的な解釈を書くとするなら、以下になります。
「二次創作は禁止じゃないけど調子のんなよ?」
ほとんどの二次創作は、法的にはNGです。でも「黙認」されている。コミケで二次創作して、莫大な利益をあげてもお咎めナシ。権利者に、怒られないかぎりは。
ほかにもズラーーーーっと項目がならんでます。
システムがとてもシンプルなぶん、規約にいっさいのスキがない印象です。ただ心配なのが、「この規約を読解できるネットユーザーがどれだけいるんだろう」ということ。
とても配慮されて書かれてます。「重要なポイント」とか、素人でもわかりやすいようになってる。でも、長文。
「子どもでもわかりやすいハウツー画像」がまだないので、不安をいだくユーザーがいるかもしれません。
まとめ 「流行るわけがない」
「なんでイラストなんかにお金を払わないといけないの? ネットでタダでみられるじゃん。イベントでタダでスケブしてくれてたじゃん。応援? 応援なんて、言葉だけでいいでしょ。あなたのことは応援してるよ! だからタダでかいててよ!」
ネットユーザーの大半は、「サービスに対価を払う」ということが理解できません。
クリエイターは、搾取されるのがあたりまえ。マンガ家もアニメーターもゲームクリエイターも、消費者の奴隷です。マンガもアニメも無料でアップロードされて、ゲームは実況者たちがユーチューブでながす。この世で一番えらいのは、消費者です。クライアントです。お客さまはカミサマです。
こんな「クリエイターにやさしい」サービス、日本で流行るわけがない。
権利ももらえないのに、3000円以上払う? ありえないでしょ。権利はもらうくせに3000円しか払わない企業だって日本にはいるでしょ。それを個人のクライアントが? ただ応援したいという気持ちで、払う? 相手はアイドルユーチューバーでもないのに?
ふざけんじゃねえよ。払うわけねぇだろ。
────というのが、1ネットユーザーとしての意見です。
でも1クリエイターとしては、そうではない。
画期的なサービスだとおもいます。ネットにはびこる悪習に、果敢にせめいっているようにみえる。勇気あるサービスだ。海外ユーザーの目にとまればおもしろいかもしれない。
Skebが成功したら、きっとクリエイターは幸せになれる。
クライアントだって無関係じゃない。安定した環境のもと、クリエイターが真摯に創作活動とむきあえることで、すばらしい作品が生まれるはずだ。クライアントはそれを享受できる。「わたしが応援して創ってもらったんだ」と、胸をはって。
Skeb流行れ。
これが1クリエイターとしての気持ちです。
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