こんにちは、ほしみです。
最近Skebで「中国の転売業者」が問題になっています。
以下、問題の背景と考えられる対策方法をまとめておきます。
「なんで転売なんてするの?」
中国ではそもそも「中国政府が国外サイトへのアクセスを遮断している」という事情があります。いわゆる「金盾」と呼ばれる、検閲ためのグレートファイアウォールシステムです。
ですが中国ユーザーは国外サイトで遊びたいので、VPNと呼ばれる偽装ツールで国籍を偽り、なんとか国外サイトにアクセスしているという背景があります。
また中国では決済方法が政府によって限定されており、たとえVPNを使用していてもSkebで直接依頼できない問題があります(アリペイなどの決済に対応すればわかりませんが)。
なので中国ユーザーは、「本当は直接依頼したいけど決済できないから、誰かを経由して依頼するしかない」。
そこでビジネスのニオイを感じとったのが、中国の悪徳仲介業者というわけです。かつて話題になった「PS5の中国への転売問題」もこれと似た背景を持ちます。
絵がほしい中国ユーザーからリクエスト料+手数料をうけとり、Skebのイラストレーターに依頼して、受けとった絵を転売して手数料分をせしめると。業者の建前は「代理依頼」「代行依頼」ですが、その本質は転売屋そのものです。
中国政府のルールもSkebのルールも著作権のルールもすべて破っているので、転売屋のなかでもかなり悪質な部類といえます。
「どう対策すればいい?」
- 怪しい依頼をうけない
対策はこの1点に尽きるとおもいます。
転売屋は「宛名を毎回変える」という特徴があります。
なぜなら転売屋は「本当の依頼主」の名前を描いてほしいので、そうせざるを得ない事情があります。「宛名≠依頼主名」だった場合は警戒すべきでしょう。
また今回の炎上を受け、転売屋は手口をさらに巧妙化させる可能性があります。考えられる新しい手口としては、「宛名なし」「サブアカウントの利用」などです。こうなるともう見分けるのはむずかしいかもしれません。業者の日本語は流暢なこともあります。
完全な対策は、Skeb側がなんらかのシステムを実装しないかぎりはムリだとおもいます。
「転売されちゃったんだけど……」
転売業者アカウントから被害を受けた場合は、Skeb運営に通報しましょう。
▼ 規約違反行為通報窓口(当事者のみ受付)
以前までのSkebは個人運営でしたが、現在は買収されて株式会社実業之⽇本社が運営しています。報告に対応する社会的義務はかつてよりも高まっているので、遠慮なく通報すればいいとおもいます。
ただ正直にいえば、転売業者はリクエストランキングの最上位に君臨していて、毎回宛名を変えるといった怪しい行為を繰りかえしており、「Skeb運営はほんとうに気づいてなかったのか?」と疑うところもあります。
そこで────「被害をうけたイラストレーター自身がツイッター上で注意喚起」することも1つの手だとおもいます。結局は今回の転売問題も、SNSでの拡散で発覚し、ようやくSkeb運営が対応しました。
SNSで注意喚起すれば、日本のイラストレーターは転売業者を警戒するし、中国ユーザーも警戒するし、Skeb運営も対策するかもしれない。エネルギーは使うかもしれませんが、基本的にはイイことずくめだとおもいます。
「自称〝本当の依頼主〟から連絡がくるんだけど……」
「本当のクライアント」を自称するユーザーから、被害者であるクリエイター宛に対応を要求するメールやメッセージが届いているようです。
たとえば「悪いのは代行業者で我々も被害者だ。あなたのSNSのフォロワーにもそうやって説明してほしい」とか、「代行業者にお金を払ってしまった。どうにかしてほしい」とか。
完全に無視することをオススメします。
そもそもそのメッセージ主が本当の依頼者であるかどうかはわかりませんし、仮に本当の依頼者であっても彼らは被害者ではなく当事者です。「知らなかった」「騙されていた」「誤解があった」といった言い訳を繰りかえしているようですが、クリエイター側に加害した事実にかわりはありません。
そもそも一番の被害者はクリエイター側なのに、この後におよんで「保身」のために更なる対応を要求してくるなど、まともな神経ではない。また「外部ツールをつかった交渉」はSkebの規約違反です。思いやりもなければ、ひたすらにコミュニティの安心を冒涜している。
転売業者と利用者の金銭トラブルは両者間の問題であり、クリエイターおよびSkeb運営が対応すべきことは何一つとしてありません。また転売利用者の信頼回復のためにクリエイター側が動く道理もない。そもそも規約違反を助長するので擁護はするべきじゃない。
親身になるだけ時間のムダだとおもいます。
その時間は、正規のクライアントの方や、あなたの創作意欲のために使ったほうが遥かに有意義です。
まとめ「倫理観に訴えるのはムダ」
転売屋はヒトのためではなく、カネのためにやっています。
いくら人間性を疑っても彼らの第一はお金であり、被害者の心情には興味がありません。また中国の「本当の依頼者」も、「金盾があるからズルするしかないんだよ!」という自己正当化が成りたっているので、倫理観に訴えてもムダだとおもいます。欲しい絵はどうしても欲しい。そして被害者ヅラしてクリエイターに対応を要求する人間もいる。
クリエイター側が自己防衛するしかない。
Skeb運営の怠慢をせめる声はあるとおもいますが、そもそもコミッション文化は「クリエイターとクライアントの一対一のやりとり」で成りたつので、クリエイター側にも個人事業主としての責任があります。Skebだろうが他のサービスだろうが直接的なコミッションだろうが、こういった転売業者は現れます。
ただそうはいっても、クリエイター側が判断するのはむずかしい。被害にあったとしてもあまり気落ちしないほうがいいかもしれません。
願わくば、日本のクリエイターも中国のクライアントも幸せになれるような「イイ仕組み」が生まれてほしいですね。
今回は以上です。よきアートライフを────ではまたφ(・ω・ )
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