「STOP! 海賊版」運動からみる出版業界の怠慢と傲慢と、本当の目的

情報をシェアしよう

8月1日、夏休み中の学生たちへの宣戦布告のように「#STOP海賊版」というハッシュタグがTwitterでトレンド入りしました。


以下、その「#STOP海賊版」運動に関するまとめと、かるい所感を書きます。個人的な推測、業界への期待の残骸も含まれているのであしからずです。

スポンサーリンク

「STOP!海賊版」運動とは

「STOP!海賊版」運動は、「出版広報センター」という組織から発表された企画であり、出版社横断で行われた声明発表でもあります。Twitterでも有名どころのアカウントが一斉に呟いてました。

「出版広報センター」とは

出版広報センターは、出版物に関する権利(著作隣接権)の理解促進を目的とした広報活動を行う団体のサイトです。「出版広報センター」創設についてをご紹介。

出版広報センターは、2012年に発足した、「構成団体を有機的に結び、出版界が共通して抱える課題に関し、迅速かつ的確な広報活動を行い、関係者をはじめ広く社会一般における理解の促進を図る」というフワフワした目標を掲げている出版社横断の謎の組織です。


主要メンバーは「集英社社長」「講談社社長室長」「KADOKAWA秘書室長」「小学館社長室顧問」などなど、日本4大出版社揃い踏みといった感じです。

本当の目的は「軽減税率」と「著作権法改正」


「出版広報センター」トップページより。

出版広報センターの主目的は「軽減税率」「著作権法改正」です。三番目にとってつけたように海賊版うんぬん。


著作権法改正については2014年に一部改正に成功していますので、急務は2019年の増税に合わせた出版物の軽減税率適用です。

「軽減税率」のために自由と魂を売る

出版業界全体で政府に擦り寄り、表現の自主規制を引き換えに、軽減税率を得ようとしている」、最近よく言われてるやつです。


政府としては、自分たちに都合の悪い表現を出版メディアが自主規制してくれれば、すごく嬉しいですよね。で、出版業界も対価として軽減税率を得られるので、WIN-WINと。


ただ実際は、政府側側は「やっぱ助けてやるのやめようかなー、どうしよっかなー?」と出版業界側を焦らせる立場にあるので、出版業界側は喉元にナイフ突きつけられてる状態です。「増税」チラつかせてメディアコントロールしようっていう政府の発想もどうなんだって感じはしますが。


貧すれば鈍する。日本の出版業界は「表現」という絶対に不可欠の魂を自ら売り払ってまで、ゾンビのように生き永らえようとしている。そのたくましさ、厚顔無恥、ゴキブリ以下の生命力はある意味見習うべきところかもしれません。

「著作権法改正」でコンテンツビジネスを堅硬に

前述の通り、著作権法改正自体は、2014年に一部成功しています。


「出版権」とか「著作隣接権」とか、「電子書籍まで権利の拡大を」とか、そのへんの話ですね。コンテンツに対する、出版社側の権利を、もっともっとたくさん欲しい────ということです。


この時も「海賊版サイト」がダシにつかわれていました。


「海賊版サイト対策のために、著作隣接権の強化を~~電子書籍の権利も~~」とか、要するに作家側の権利を奪うわけですが、「いやいや海賊版サイト対策のためだから^^」ともっともらしいことを言って成立させました。


作品の権利を出版社が欲しがる理由は言わずもがな、そのほうがコンテンツビジネスがしやすいし、作家に権利関係でごちゃごちゃ文句言われる筋合いもなくなるからです。

海賊版サイトは良いダシになる

日本の出版業界と、海賊版サイト、ある意味でWIN-WINの関係にあります


海賊版サイトのおかげで、出版業界は「軽減税率」と「著作権法改正」を訴えられるわけです。だから海賊版サイトを野放しに────なんてことはないでしょうけど、「利用」しているのは間違いないですね。


「打倒海賊版サイト!」、都合のいい大義名分なわけです。

その被害総額、本当ですか

出版広報センターは、出版物に関する権利(著作隣接権)の理解促進を目的とした広報活動を行う団体のサイトです。深刻な海賊版の被害をご紹介

「2014年の国内被害500億円
「はるか夢の址による被害731億円
「漫画村による被害3000億円


「2014年の国内被害500億円」は、著作権法改正の時に利用された数字ですね。この数字を掲げて「著作権を変えないと大変なことになる!」と訴えたと。


近々では「漫画村」の被害3000億円と。


で、この数字の具体的な試算方法が載ってるわけではないんですが、「漫画村ユーザーがみんな正規価格で買ってくれていたらなぁ!」ってご都合主義な計算なわけですよね。


当たり前ですけど、海賊版サイトがないからといって海賊版ユーザーが正規の本を買うとは限りませんです。むしろ十中八九買わないでしょう。


「漫画村閉鎖後に売上があがった!」と言っていたマンガ家のツイートがバズって、のちにその売上が漫画村閉鎖前のものであったことがわかって妙な空気になってましたが、現状まだまだプラシーボ効果か判断がつかないレベルなわけです。


漫画村の被害総額3000億円、本当ですか?

ユーザーへの一方的な要求を繰り返す業界

業界「海賊版サイトを使わないで!」
読者「じゃあ便利なサイト作ってよ」
業界「海賊版サイトを使わないで!」
読者「……『漫画村 代わり』、と」


ユーザーが真に求めているのは「出版社横断の便利なマンガ読み放題サービス」です。


今の出版業界は、「海賊版サイトを使わないで!」と一方的に読者へ要求しているだけで、「我々はこういう改善策に出ますから!」という話を一切していません。


海賊版ユーザーも自分本位ですが、日本の出版業界も同等かそれ以上に自分本位です。すでに「再販制度」で法律に守られてるくせに、さらに「軽減税率」まで要求して(魂を売り払ってでも)、自分たちを守ろうとしている。


彼らが守りたいのは、コンテンツでも魂でも作家でも読者でも読書文化でもなく、単に「船長たる自分たちの船(居場所)」です。船にすがりつく哀れな老害海賊。ユーザーたちもそれを見透かしてるからこそ、冷笑や厳しい言葉を出版業界にぶつけている。

” 出版社横断型サービスの創設に関しては、「具体的に検討する段階には入っていない」 “

↑ 業界の窮状は訴えてるくせに、ずいぶん余裕がありますよね。

まとめ

窮状を訴える前に、取り組むべきことがあるのでは


べつに既存の出版業界が消え失せたところで、マンガも小説もこの世に残りますし、創作する人間が消えることもないです。Amazonのkindleで個人出版したり、Twitterで無料マンガを上げたり、pixivに載っけたり、いくらでも「出版」の手段があります。


今は「YouTube」や「ゲーム」といった娯楽もありますから、そもそも「本を読む」という忍耐力の必要な行為をする必要もない。


本当の「敵」は海賊版サイトじゃないですよね?




今回は以上です。ではまたφ(・ω・ )

スポンサーリンク

情報をシェアしよう

筆者をフォローしよう