「ノベルゲームは衰退したのか」の4つの考察

 

ノベルゲームやビジュアルノベルは衰退した


ゲーム制作界隈をながめているとたまに見かける話題です。


先日Twitterで「いまは実況文化があるからJRPG復活は無理!」というツイートが炎上していて、「その理屈ならノベルゲームのほうがキツそう」「ノベルゲームのほうがよほど衰退してる」という飛び火も見かけました。


以下、気になったので考察していきます。なお、この記事では「ゲーム性のないものをビジュアルノベル」「ゲーム性のあるものをノベルゲーム」と分けて表記しています。

 

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「ソシャゲに組みこまれただけでは?」

 

今あるソーシャルゲームのほとんどには、ビジュアルノベルが組みこまれています


ストーリーパートで、立ち絵と背景とメッセージウインドウを表示して、「低コストでキャラクターを活かす技術」。これこそビジュアルノベルのノウハウで、そこにゲーム性が追加されればノベルゲームであるはずです。


ノベルゲームは未だかつてないユーザー数をかかえている。


なのになぜ「衰退した」と感じるヒトが多いのか。

 

 

「ビジュアルノベル単体はたしかに流行ってないかも……」

 

ゲーム性のない、あるいはゲーム性が薄いビジュアルノベルは、たしかに今はあまり流行っていないかもしれません。


ただ見るだけならマンガやアニメでいい。めいいっぱいお金をかけて、イラストを美麗にして、演出を派手にして、フルボイスにして────なおさら別の媒体でいい。


低コストが売りのビジュアルノベルなのに、時代のリッチコンテンツに合わせようとすると売りが消えてしまう


マネタイズも非常に苦しいジャンルです。1回読んだらそれっきり。課金コンテンツも作りづらい。今は高クオリティのフリービジュアルノベルや基本無料ソシャゲも多いし、高額売りもしづらい。


ビジュアルノベル単体は、「本当に突き抜けた作品」しか成功しないジャンルになっている。

 

 

「ノベルゲームは空気すぎる」

 

ノベルゲームほど境界が曖昧なジャンルはなかなかないとおもいます。


ビジュアルノベル、サウンドノベル、キネティックノベル────ノベルとつくだけでも無数にジャンル分けされ、アドベンチャーゲームの区分にも入り、他のあらゆるジャンルのストーリーパートにもシステムとして組みこまれている。


ノベルゲームはどこにでもあるのに、境界が曖昧すぎて意識してるヒトは少ない。


まるで「空気」のような存在になっている。

 

 

「実況文化とノベルゲームのシナジーは微妙」

 

ネタバレありの実況文化はノベルゲームの足かせになるか」という点は、かなり微妙なラインだとおもいます。


実況でみるようなストーリーゲームをそもそも自分で買うヒトは少ないだろうし、話題になることで興味がわく購買層もいるだろうし────売上にどの程度影響するかはビッグデータでも見ないとわからないのかなと。


また「テキスト主体のゲーム」は、そもそも実況者や視聴者から忌避されやすいのがあるとおもいます。朗読はむずかしいし、ノドは酷使するし、リアクションをはさむのもタイヘン。よほど腕のいい実況者じゃないとヒトは集められない。


なので個人的には、「クリックしないと視聴できない実況文化はあんまり気にしないでいいのでは?」という印象です。


むしろ警戒すべきは、サムネでネタバレする悪質な動画投稿者とか、SNSで無邪気に新作ネタバレを拡散する無法者そのものだとおもいます。

 

 

まとめ「一般化しすぎただけ」

 

デトロイトビカムヒューマンは、個人的に「ノベルゲームの系譜」だとおもっています。無数の選択肢があって結果が変わる。好感度もある。ハンクはヒロイン。けれどデトロイトをノベルゲームだと認識しているヒトはすくない。


十三機兵防衛圏は、さらにノベルゲームよりビジュアルノベルに近いものだとおもっています。移動パートや戦闘パートこそありますが、ほぼ一本道ノベル。けれどやはり十三機兵防衛圏をノベルゲームだと認識しているヒトはすくない。


ノベルゲームが当たり前に在りすぎて、みんな意識しなくなっている


それが「ノベルゲームは衰退した」論の正体だとおもいます。


ただし情報過多社会で、機能的識字率が下がっている今、なんとなく「長文テキスト」への忌避がゲーマー層に広がっていて、「これはストーリー主体です!」と制作者側がアピールしづらい状況にはなっている気はします。


ノベルゲームだと思わせないようにノベルゲームを作る。それが今の流れなのかもしれません。


今回は以上です。よきゲームライフを────ではまた。

 

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ソニー・インタラクティブエンタテインメント

 

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