創作物は「帰属」と「自己実現」の欲求を満たすべきなのか

 

ネット時代は共有の時代です。


共有がカンタンになってから、「創作物のあり方」がかわったようにおもえます。


人間の欲求」をもとに、今の創作物のすがたを考察していきます。

 

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「帰属と自己実現?」

 

  1. 自己実現欲求
  2. 承認欲求
  3. 社会的欲求
  4. 安全欲求
  5. 生理的欲求

 

https://jibun-compass.com/maslow

 

▲ 人間は5段階の欲求をもつという、有名な「マズローの欲求5段階説」。


人間は自己実現にむかってたえず成長する」という仮説です。


このマズローの欲求5段階説を「消費者心理」にあてはめると、さらに「4つの消費衝動」にわけることができます。

 

  1. 自己強化への衝動
  2. 帰属への衝動
  3. 知覚品質の衝動
  4. 便利さへの衝動

 

 

つまりこの記事でいいたいのは────ネット時代の創作消費者のおおくが、より上位の欲求をつねにもつようになったのではということです。


帰属」の欲求────「自分を認めたい・認められたい」、「他人とかかわりたい・集団に属したい」という欲求。


自己実現」の欲求────「なりたい自分になりたい」、「能力をはっきして創造的な活動をしたい」という欲求。

 

 

「創作物で帰属するって?」

 

ネット時代のメジャーな創作物は、もはや「コミュニティ」そのものです。


ソシャゲ」がいい例です。共有がさかんにおこなわれている。つよいキャラやかわいいキャラをもつこと、ゲームがうまいことが「ステータス」になる。まわりに自慢できる。共通の話題でもりあがれる。「二次創作」だってある。


「有名なソシャゲをしている」ことが、「帰属意識」をうみだす。ユーザーの高次の欲求が比較的カンタンに満たされる。


まさにソーシャルゲーム(社会的欲求をみたすゲーム)です。

 

 

「創作物で自己実現するって?」

 

大流行中の「異世界転生モノ」は、「自己実現」のシミュレーションです。


「現実ではどうしようもない人間が、異世界に転生して、活躍する」────これは「ターゲット読者の欲求」そのもの。


自分に都合のいい異世界にいきてぇ……」「主人公になって活躍してぇ……」────そういう読者の欲求をみたすのが、異世界モノであり、転生モノであり、チートモノであり、ハーレムモノであり、俺TUEEEモノです。「承認欲求」を満たすものでもある。


「小説家になろう」は、ユーザーの高次の欲求をみたしているからこそ強い


また、ゲームを実況したり、二次創作で創作した気分になるのも、他人の創作物を借りた「自己実現のシミュレーション」です(あるいは本当の自己実現)。


異世界転生モノには共通する「テンプレ設定」のようなものがあり、性質としては二次創作にちかい。これも「共有」の時代だからこその流れだとおもいます。

 

 

「帰属も自己実現もみたせない創作物は?」

 

帰属も自己実現もみたせない創作物は、「価値がひくい」と判断される。


たとえ品質がよくても「あー、おもしろかったなー」────で、オワリ。


消費されたとしても、「共有」されにくい


ネット時代の創作物は、帰属と自己実現をめざす必要がある。

 

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「その欲求、まやかしじゃないの?」

 

欲求が「まやかし」かどうかなんて、ユーザーには関係ない


異世界転生モノや二次創作でえられる「自己実現」も、ソシャゲやSNSでえられる「帰属」も、たしかにおおくは「まやかし」かもしれませんが────たのしんでるユーザーはそんなこと考えないし、認めない。


まやかしでも、欲求が満たされればそれでいい


欲求そのものは真実です。

 

 

「品質は?」

 

品質は「前提条件」です。


ただし────日本の創作物では、もはや品質はあいまいになっている気はします。


今のメジャーなソシャゲは、シナリオが特に優れているわけでも、ゲーム性が特に優れているわけでもない。「帰属」に特化している。あるいは「性」に特化している。


必ずしも、品質が重視されているわけではない。(「帰属」と「性」をゲームの品質とするなら話はべつですが)


ただ、「利便性」や「簡易性」にたいしては、すこぶる敏感にみえます。


「フクザツで奥ぶかいゲーム」よりも、「カンタンに楽しめるゲーム」を求めている。


品質の「基準」がちがうだけで、ある意味「高い品質を求めている」とも考えられるかもしれません。


5G回線がきて、通信の情報量がふえたら、すこしは傾向がかわるんでしょうか。

 

 

まとめ 「人間は成長しているのか」

 

人間の欲求は、あきらかに「増長」しているとおもいます。


これを「成長」とみるべきか、「退化」とみるべきか、「じつは人間は昔からそういうもの」なのか。果てしない欲求のさきに、なにがあるのか。創作物はどう変わっていくのか。


個人的に気づいた点は────「帰属と自己実現にも段階がある」ということ。


ネット時代の帰属と自己実現は、「一見して手軽」という印象です。腐るほどある「つながる系サービス」で帰属はカンタン。「なりたい自分になる」自己実現は、「パクリ」や「シミュレーション」で代替できる。


その「満たし」はただの「まやかし」。ラクに帰属や自己実現ができてたまるか。創作物は、「おてがるに高次欲求をみたすツール」に成り下がったのか。あるいはもともとそういう役割だったのか。


間違いないのは、「帰属」と「自己実現」が創作物には大事だということ。品質を前提として、両者を満たさなければ、土俵にすらあがれない。


あとは「やり方」次第なのかもしれません。


今回は以上です。よき創作ライフを────ではまたφ(・ω・ )

 

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