「まず誰か一人のために創れ」という教えへの寒気とその正体

 

「大勢に向けて創るんじゃなくて、まず誰か一人のために創ってみよう!」みたいな創作論を、たまに見かけます。先日も有名クリエイターが言っててバズってました。


これがどうも喉に引っかかってとれないので、すこし考えてみました。そもそも「創作論」みたいな話が嫌いな方はご注意をば。


端的にいうと、「まず誰か一人のために創ろうよ♪」みたいな耳障りのイイ話に、「寒気」を覚えてしまう。そしてその寒気の正体がなんなのか、自分でも明確に言語化できなかったので、考察してみたかった。

 

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「運の良かった成功者の自慢話では」

 

「誰か一人に喜んでもらうために創ってたら、いつのまにか成功しちゃってたわー。かーっ。身近に良き理解者がいてよかったわー」みたいな。自分のようなひねくれ者の目には、ただの自慢話にしか見えないパターン。


「身近な誰かの好みに合わせてたら成功してた」って、あまりにも限定的な話ですよね。その「誰か」のセンスが良いかどうかは、どう判断するんですか。ダメだったらその「誰か」を取っ替え引っ替えするんでしょうか。


「ユーザー(読者)のペルソナを設定する」みたいなマーケティング論も根っこにはあるんでしょうけど、だったら「どういうペルソナを設定するとイイのか」みたいな話はないのか。

 

 

「編集者やプロデューサーに都合のイイ論では」

 

傲慢かつ無能な編集者・プロデューサーに「おれのために創ってればいいんだよ!」とか言われたら、そのとおりにするんですかね。


一見、創り手の重荷を下ろすような言葉ですけど、「ブラック思想」との違いはなんなんでしょうか。


「誰かのために創れ」と「誰かのために働け」、どう違うんでしょうか。その「誰か」の違いなんでしょうか。


友だちのため、恋人のため、子どものため、部屋でひとりヘッドホンをつけているキミのため──こう書けば、聞こえはイイですよ。でもそれはホントウなんですか。

 

 

「結局、承認欲求の囚人なんじゃないのか」

 

承認してほしい相手が、「不特定多数」から「誰か一人」に変わっただけでは。


その「誰か一人」に認めてもらえなければ、結局哀しいわけですよね。その「どうしても認めて欲しい誰か一人」が、「ゼッタイに自分を認めてくれない誰か」だったら、どうするんですか。


救われないどころか、さらに苦しくなるのでは。


あるいは、その誰か一人に承認してもらうために、自分という人間を必死に造り替えようとするかもしれない。それは必ずしも正解なのか。

 

 

「それでできた失敗作が腐るほどある」

 

「いいねこれ! サイコーの出来だよ!」「ぼくもとても素晴らしいとおもう!」「わたしも! わたしも!」────こういうイエスマン&ウーマンに囲まれたクリエイターが創った作品、必ずしも「良い作品」なんでしょうか。


承認が目的になれば、イエスに侵されるのでは。


「ほとんど総スカンだったけど、あのヒトが認めてくれたしまぁいっか」なんて、創作でなんの救いになるんでしょうか。

 

 

寒気の正体は「ひねくれ」「嫉妬」「くすぶり」「失敗」──

 

「誰か一人のために創った」作品が、その誰かに認められず、また他の誰にも認められない


これキツくないですか。


「ただ気楽に創作をつづける」だけなら、「私は私のために、自己満足のためだけに創っているんだ!」って必死に自分を騙くらかして生き続けたほうがよほど気楽です。

 

 

おわりに

 

ヒトそれぞれ創作論なんてあっていいと思います。「まず誰か一人のために論」を発している方々も、押し付けるつもりなんてサラサラないでしょうし。「これで少しでもラクになってくれるクリエイターがいるなら」っていう善意の行動がほとんどかなと。


ただ、薄ら寒く感じたのも事実なので、こうして書いてみました。


私としては、「誰かのために創った作品」を、その誰かが「面白いよ」って「優しい気遣い」で褒めてくれたのを察したときが、一番キツいです。


ただ、誰が何と言おうと、言わずとも、続けるやつは続けるとおもいます。


今回は以上です。ではまたφ(・ω・ )

 

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