電子書籍の個人出版(KDP)はじめて2年経ったので所感を書きます

hoshimi12です。いつもお世話になっております。


Kindleストアの無料個人出版サービス「KDP(Kindle Direct Publishing)」に参加してから丸二年が経ちました。状況の整理もかねて、所感をつらつら書いていこうと思います。長くなったんで折り畳み。




まずKDPそのものの所感です。とにかく、カンタン。パソコンやネットの知識が乏しくても全く問題なく参入できると思います。この点はAmazonさんホント素晴らしいサービスを作ったなと。もちろん不満点もありますが。


KDPはこれからじわじわ浸透していくと思います。月2~3万くらいなら現実的ですし、よくあるネット副業のひとつに取って代わるんじゃないでしょうか。旅行モノの小説シリーズがバカ売れしてる個人作家さんや、数ヶ月で1000万近く荒稼ぎしたエロマンガ家さんとかもいましたし、それなりに夢もあります。ただ、あまりに売れすぎれば強制削除されますし(Kindle Unlimitedの事件など)、オススメ作品は都合良くコントロールされますし、おそらくKDPの利率はこれからどんどん下がってくると思います。実際、米AmazonのKDPは利率が下がりすぎて戦々恐々という話も聞きます。誰もがそう思ってるでしょうけど、Amazonは決してヒトに優しい企業じゃないです。………だからこそ信用できる部分もあるわけですが。


プラットフォームには流行り廃りがあります。仕様変更で向き不向きも変わります。KDPはもうダメだと思ったら、感謝を抱きつついつでもどこかに飛び去るつもりですし、Amazonもきっといつでも著者を切り捨てる覚悟だと思います。




以下、そんなKDPに参加して二年、個人的に起きたことを書きます。


2015年9月に、電書処女作の『トライメライ 夢魔のイデア』をリリースしました。……いま考えると、しょっぱなからまぁ、闇の深い作品を出したもんです。当時の気持ちとしては、「売れなくてもいいから最初は〝創作〟をテーマにした作品を書きたい!」って感じでした。


話は遡ってその二年前、2013年と2014年は、ほんとうに地獄でした。角川エンターブレインから出版の仕事がきて、「やっと商業デビューできるー!」なんて喜んでいたら、編集者さんに現実を教えていただき、サッパリ夢から醒めた、あるいは冷めた二年でした。だからこそトライメライは「夢」と「創作」をテーマにしてみました。自己満足といわれればそれまでですが、おかげさまで色々スッキリできました。




雨の日に編集者に傘でブン殴られ、ずぶ濡れのところを読者さんが傘貸してくれて、身体乾かしてるとこにAmazonが次の道を示してくれた――――そんな風に思ってます。たまにAmazonのことブツクサ言うんですけどね、根っこは感謝してます。


2015年と2016年は、たぶん今までで一番創作に打ち込めた二年間でした。売上は笑っちゃうようなもんです。2015年が二万円、2016年が二十万円すかね。とても創作だけで生活できるような額じゃないですけど、商業出版でもらったお金より、数十倍うれしかった。それに、十年近くネットで活動してきて、はじめてリアルで同業者の方々と会う機会も頂きました。内でも外でもいろんなものがより良く動いた二年でした。


2017年はまだ途中ですが、今のところ「迷いの年」になってます。たぶん今年の売上は四十~五十万円くらい。数字だけみると順調に伸びてきてるんですけど、分厚い「壁」を感じはじめてます。正直いうと、『キミはキメラ 箱庭の鬼』でグワーーっと売上伸びたんですが、つづく『キミはキメラ 畜生共のパレード』でガクンと落ちました。KDPの仕様変更と重なった、アダルト判定喰らって初動で躓いた、単純に売れる作品ではなかった、既作に良い影響を与えなかった――――落ちた原因はいろいろ考えられます。




売上やDL数が伸びてなにが楽しいって、「自分の成長が可視化される」のが楽しいんですよ。で、それが落ちるってことは、「自分が成長してない」or「過去の自分に負けてる」ってことで、非情に悔しく、情けなくなるわけです。お金は大切なものですが、二の次です。


「このままじゃダメだ!」って気持ちが、すごく強くなりました。だから今年から、複数作の同時並行制作をはじめたり、制作スピードを上げる努力をはじめました。ですが、これもやっぱり限界がある。ムリのある努力って、必ずどこかで不具合でるんすよね。実際近ごろ痔になったりして、モロに身体に表れてきてます。今まで年に2~3作つくってたのを、身体壊してまで4~5作に増やして、果たして意味があるのか。




電子書籍市場の成長の遅さも、焦りに繋がってるかもしれません。ぶっちゃけ時間かかりすぎですわ。出版社や取次やリアル書店の抵抗があるにしても、媒体そのものがまるで成長してない。現状「劣化ビジュアルノベルアプリ」でしかない。ただ紙を電子に変換してるだけ。これに若者が先進性を感じるのはムリがある。YouTube見たり、スマホの基本無料ゲームやってるほうが数十倍楽しいですよ。去年「Kindle in Motion」っていう動的なビジュアル小説媒体がはじまったんですけど、公式の告知は一切ナシというやる気のなさ。Amazonも本心では、Kindle事業に未来を感じてないのかな――――なんて思ったりもしてしまう。電子書籍はこのまま、過去の遺産(紙書籍)を電子変換していくだけの、なあなあの場所で在り続けるのか。


自分はべつに、電子書籍という媒体を素晴らしいとは思ってません。魅力を感じてるのはむしろ、「Kindleストア」という個人に開かれたプラットフォームです。さらにいえば、個人が創作で生きていく道を示してくれる場所なら、どこだっていい。自分が執着と愛着をもってるのはあくまで「創作」そのものなんで。




自分の目的は、成長を感じることと、読者さんに楽しんでもらうことです。今の電子書籍への取り組み方で、本当にいいのか。正直、技術面の成長は感じてますが、読者さんが前より増えてる感じはあんまりしません。(フリゲ・スマホアプリ時代の)今までの読者さんが、応援もかねて買ってくれてるパターンがすごく多いと思います。ありがたい限りですけど、もっと多くの読者さんに楽しんでもらえるカタチにできないか――とも考えてしまう。今の自分は、「これマジで読みたい!」と思えるような作品を、作れてるのか。


「サウンドノベルのほうが面白くね?」「いっそマンガでも描いたら?」「人気ソシャゲのくだらないシナリオみろよ。誰も大してシナリオなんか気にしてねーから他の創作がんばれ」、いろいろ囁き声が聞こえます(幻聴)。ただ間違いないのは、自分は一人しかいなくて、アレコレ手を出すのは限界があるってことです。限りあるリソースでやりくりするしかない。


サウンドノベルについて書いておくと、個人レベルでマネタイズするのはほぼ不可能だと思ってます。今のサウンドノベルは、ゲームの「パーツ」としては活躍してますけど、それ単体ではユーザー数がめちゃくちゃ少ない(減った)。いくら作りたくても、個人で生きていける土壌じゃない。




個人で創作で生きていく。この難しさを改めて感じてます。自分には特に「光る才能」みたいのはないです。何もかも中途半端で、だからシナリオもイラストもデザインもゲームもアプリもWEBもアレコレぜんぶ手を出してる。ステ振りがどこにも尖ってない器用貧乏で、そういうやつはチームの優れた歯車にはなれない。


電子書籍は、最少制作人数が限りなく一人に近い。それは自分にとってかなり理想的なことです。ですがなんだか、物足りない。結局、ヒトに飢えてるのかもしんないっすね。




つらつら書きましたが、今後も創作を続けていくだけです。電子書籍は……どうですかね。スタートから二年。まあたった二年の新人なんで、正直まだよくわかんないっす(投げやり)。何事も三年続けないとよくわからんとはよく言いますし、まずは三年。これからの一年で、自分の次の行く道をまた定めていけたらなと思ってます。


ここまで読んでくれた方ありがとうございました。…………長くなったな。こういう雑記書くのは久しぶりですかね。近ごろは意図的に淡々とした制作日誌にしてましたが、たまにはこういうのも。


皆さんの人生にそれぞれの良い充足があることを祈ります。ではまた。